第10章 ゴミ捨て場の決戦!
ー歩side
『ーこぉこでブロックー!!!正に流れを作る一本ーーー!!』
ピンサーで入った山口君の一本目はサービスエース
二本目はサーブで崩してツッキーのブロックで仕留めるサーブアンドブロック
序盤からアツイ展開すぎる
梟谷グループでの夏合宿中の山口君との会話が思い出された
「今日他のチームがやってた攻撃でね、烏養コーチに教えてもらったんだけど、サーブ&ブロック。いや、別に目新しい攻撃でも何でもないんだけどね、なんかすごいカッコよかったんだ」
「サーブで攪乱して、ブロックで仕留める的な?」
「そうそう!それそれ!…俺ね、あれをツッキーと出来たらなって思ったんだ」
山口くん…
あの時はまだみんなの思いもバラバラで、試行錯誤の連続で、必死でもがいてガムシャラに走って、ついにここまで来た
胸に熱いものが込み上げてくる
ブロックしたツッキーは振り返り、山口くんの方に歩いて来て
2人は思いっきりハイタッチをした
何よもう…
妬けるほど息ピッタリ
まだ序盤やのにこんなん泣くしかないやん
コートの中のツッキーに目をやると黒尾さんと何やら話して…そして少し笑ってる気がした
ほんま妬ける…
ツッキーにあんな表情させる黒尾さん
ツッキーに絶対の信頼を得てる山口くん
ツッキーを夢中にさせるバレーボール
「ライバルいっぱいやわ」
独りごちて笑う
「どうしたの歩ちゃん、なんか嬉しそうだね?」
私を覗き込みながらやっちゃんが訊く
「ツッキー、ほんまええ顔するようになったなって」
「そうだね、一年の中で月島くんが一番変わったと思う」
「黒尾さんとか木兎さん、翔陽や山口くん…みんなと過ごした日々がツッキーを変えたんやろな」
「…一人忘れてるよ?」
「え?」
「歩ちゃん、自分だよ?」
「私?」
「歩ちゃんのことになると、いつもの冷静な月島くんじゃなくなるからね」
「え、そうかな…」
少し照れながらコートの中のツッキーを見つめる
あんな風に眩しく輝く彼の力に、私も少しはなれてるんかな?
そうやったら嬉しいな