第10章 ゴミ捨て場の決戦!
ー月島side
昨日影山と話して歩への気持ちを再確認して、居ても立っても居られなかった
「ねぇ…チョット」
体育館に入る前に歩を呼び止める
ここ数日僕の方から話しかけることが少なかったせいか、彼女は少し驚いた顔をしていた
「どうしたん?」
「昨日…試合の後何で半袖だったの?」
「え…そこそんな気になる?!」
「いや…それはどうでもいいんだけど」
「ええんかい」
「…半袖だったから見えたんだけど…ネックレス…つけてたんだね」
「あ…うん」
歩は服の上から胸元を押さえて少し恥ずかしそうに返事をする
「ずっと?」
そう訊くと彼女はコクンと頷く
「…冬場は見えへんからいいかなぁって」
恥ずかしそうにボソボソと答える歩が可愛くて、抱きしめたくなる
その感情を何とか理性で押し殺して、スッと手だけを差し出す
「今日の音駒との試合…日向ほどじゃないけど僕にとっても特別なんだと思う」
「黒尾さんと初めて公式戦で戦うんやもんな」
僕は頷いて、差し出した手で歩の手を握る
「だから、昨日の…やって」
「え?」
そのままギュッと握る手に力を込めて歩を引き寄せると
「歩の力、全部ちょうだい」
そう耳元で囁いた
顔を上げた歩は顔を真っ赤にしながら
「分かった!分かったから!もう心臓に悪いから急に…」
って動揺してる
「なに?…昨日はあんなに積極的だったのに」
慌てる歩が可愛くて、つい意地悪したくなる
「なっ…それ言い出したら昨日までのツッキーの態度ほんま何やったん?!」
歩がいつもの様子で言い返してくる
と、
「なになに〜体育館の入口で痴話喧嘩とは余裕だねぇ」
黒尾さんを先頭に音駒のメンバーが現れる
「…仲直り出来てよかったじゃない」
黒尾さんが僕の肩をポンと叩いて通り過ぎて行った
そして…
その後ろを孤爪さんがめちゃくちゃ嫌な顔して歩いて行った
この人…もしかして歩のこと…
試合が始まって、僕がコートに出るとさっきと同様ネットを挟んで向こう側で孤爪さんが露骨に嫌な顔して僕を見る
この人けっこう顔に出るよな
僕のこと嫌ですか
それがブロッカーとしてなら光栄です