第10章 ゴミ捨て場の決戦!
春高3日目
いよいよ、待ち望んでた舞台
ゴミ捨て場の決戦が始まる
ベンチに入ると会場の歓声が耳に入るけれど、そのほとんどが音駒の応援で
「さすが東京勢は応援も多いな」
ボソッと東峰さんが呟く
チラッと音駒ベンチを見ると、毎度お馴染みの円陣
「俺たちは血液だ 滞りなく流れろ
酸素を回せ 脳が正常に働くために」
黒尾さんの声が聞こえる
負けじと大地さんが息を大きく吸い込み
「喰い散らかすぞァ!!!」
気合いの入った号令に全員で
『オエーーーイ!!』
と応える
試合開始の笛が吹かれる
影山くんのサービスから始まった試合
鋭いジャンプサーブも海さんに上げられる
海さんが上げたボールをリエーフ君が打つ
でもそれはノヤさんがキレイにあげる
そして影山くんの完璧な"一歩"から繰り出される一糸乱れぬトスワーク
一瞬侑のように見えてゾワッとした
多分会場を凄い歓声が包んでるはずなのに
私の耳にはみんなの息遣いだけが聞こえるような気がする
影山くんのトス、田中さんがインナークロスを放つも山本さんに拾われる
リエーフ君が叩き込んだボールを大地さんが繋いで…
あ、来る
そう思った瞬間、影山くんから放たれたトスは既に翔陽の掌に吸い込まれ、あっという間に研磨さんの腕を掠めてコート外に落ちる
『ーじ…実況も置き去りです!
スタートから怒涛のラリー!』
ウワァァァァアと会場が騒めく
やっと公式戦で戦える喜びと
烏野も音駒もみんなが大好きで、眩しくてでも
…やっぱり勝ちたいって想いもあって複雑な心境になる
今日も相変わらず音駒の守り、粘りは健在で
黒尾さんのブロックも研磨さんの極小モーションからのセットも海さんの安定レシーブもリエーフ君の打点も…
絶好調か
「音駒はもうデディケートシフトじゃないんやな」
私はノートに書き込みながらやっちゃんに言う
「あ、それって日向が前衛の時にブロックが寄ってたやつだっけ?」
「そうそう、多分翔陽の"紛れる"を警戒してるんやろな、相変わらず対応早いなぁ〜研磨さん」
今日は、あっちのコートもこっちのコートも見ないといけないから忙しい