第9章 春高!
ー宮侑side
「知らんわ、浮気したくせに」
歩が言い放つ
「…いや、それはそうやねんけど違うねん」
「何がよ」
相変わらず圧が凄い
「俺ばっかりお前のこと好きで好きで、このままやったらお前に依存してしまう気がして怖かったんや」
「…それであの人と?」
俺は小さく頷き
「全部俺が悪い、俺がガキすぎただけや」
そう言って1年前の話をし出した
ー1年前 稲荷崎高校1年生の教室
冬休み明け、久々に会ったクラスメイトたちが話をしていた
クリスマスや正月にどこ行った、何してたって会話が聞こえてきて
「侑はクリスマスなんしてたん?」
と話題を振られた
「部活」
「の、後は?」
「彼女とデート」
「うわ、クソ羨ましい〜」
数人のツレが俺を囲んで盛り上がる
「でもあれやろ?侑の彼女って一個下やろ?まだ中学生やん」
「え、侑って中学生と付き合ってんの?!」
「スマホの待受彼女とのツーショやろ?ベタ惚れやん!」
ツレたちに囃し立てられて、なんか急に恥ずかしくなってきた
その様子を見てた目立った女子の集団が
「なんなん?侑、中学生の彼女にベタ惚れなん?」
とニヤニヤしながら会話に入ってくる
「ちゃうし!向こうが惚れとるからしゃーなし付き合ったってるだけやし」
口をついて出たのは思ってもない言葉
俺はそん時恥ずかしいって思ったんや
もちろん歩のことじゃなくて
ツレの言う通り、中学生の歩に夢中な自分が…
歩を失うくらいやったら、あんなしょーもない見得張るんとちゃうかった
今やったら言えるのに
「おう、ベタ惚れで何が悪い!お前らが一生かかっても会えへんぐらい良い女や」って
そんで、その話が終わった放課後に1人の派手めな女に呼び止められた
「侑、さっきの話やけど…別に侑は彼女大事にしてるわけちゃうんやろ?」
「お、おう…そや」
「じゃあさ、私と遊ばへん?私前から侑のことええなって思ってたんよ」
「え、いや…それは」
「なに?中学生の彼女が大事で浮気とか無理って感じ?意外と真面目なんやな」
そう言って女が挑発するように笑う
「…そんなことないし、ええで別に」
慣れたフリしてそう答えた