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FLYHIGH(ハイキュー)

第9章 春高!


多分やっちゃんは私が涙を流してることに気づいてたやろうし、それが烏野のために流した涙じゃなかったことも分かってたかもしれん

やっちゃんは何も言わんかった

私は首からかけたタオルで涙を拭うと、ゆっくり深呼吸をして目を開けた

ジワジワと追い上げられて詰まる点差

治からのサーブ、体勢を崩してラストが影山くんになる

影山くんはセッターである侑を狙って返球する

ファーストタッチは侑


『打ちづらいところ上手くセッター宮侑を狙って返しました影山!しかし稲荷崎には宮治がいる!」

実況が言うが早いか、侑が高く飛び上がり、瞬く間にボールは烏野コートに突き刺さる

「ー何コレ…」

呆然としながらやっちゃんが呟く

セッターである侑ならまだしも、治のセットからの双子速攻


『ナーイスキー!あつむ!ナイスキーあつむ!跳べ跳べあつむ!もう一本!!』

地鳴りのような歓声の中、私とやっちゃんは立ち尽くす



思い出なんかいらん



そう書かれた懐かしい横断幕が目に入る

初めて見た時、どんな横断幕やねんと思ったけど今なら分かる

IHの全国2位って結果も今までの勝利も、彼らにとってはもう過去のことで…

今日彼らはまた、新しい彼らになる



「それでも…私は思い出も欲しいけどな」



稲荷崎で出会った仲間

宮兄弟と過ごした十数年

侑を好きやった時間


それは全て私を形作る大切な記憶

もう辛い思い出から逃げるのはやめよう

きちんと侑と話をして、私は思い出を大切にしながら

前を向いて新しい私になる





翔陽が前衛のターンでブレイクせんとキツイのに、あっという間に後衛に下がる

稲荷崎の方は侑が後衛になって、いつ双子速攻ブッ込まれてくるか分からん状況

ここで離されずに何とか食らい付いて欲しい

そう思いながら祈るように両手を合わせた



翔陽のサーブをアラン君がレシーブ


『レシーブセッターに返って宮侑、誰を使う

すでに宮治が助走に入っている!』


『が、攻撃はレフトから銀島ー!』


冷静にリードブロックで阻むツッキー


『っしかし、烏野の壁月島阻むー!』


ツッキーがブロックしたボールは稲荷崎コートに返る




ーそして…
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