第9章 春高!
「ミャクアリか〜すげぇ可愛かったな、田中の幼なじみ」
「いいなぁ…とうとう田中に可愛い彼女かぁ〜」
恨めしそうに成田さんと木下さんが呟き
「なっなっなんでそうなるっ?!」
と田中さんが慌てふためく
「え…だってなんかもう…ねぇ」
「雰囲気的にくっつく流れじゃん」
みんなが答えると、田中さんは
「ミャクがあるかないかが問題なのか?!勝てない相手には挑まないのか?!」
と捲し立てる
それを聞いた縁下さん、成田さん、木下さんが
「勝てない相手って清水先輩のこと?」
「お前は清水先輩に勝とうとしてるの?」
「ややこしいから試合と恋愛を同じラインで考えるの一旦やめよう」
と口々に言う
「そもそも脈があるからそっちに行くって言うのか?!」
「うんまぁ、可愛かったら」
「好きって言われてから好きになるみたいなのは、割と普通じゃないの?」
田中さんの質問に成田さんと木下さんが答える
「据え膳食わぬは男の恥!」
突然話に入ってきたノヤさんはそれだけ言うと布団に入る
自由!
「わかる!わかるさ!キレーなお姉さんが「一緒にビーチバレーしよ」って言ってきたら、そりゃあお願いします!モチロン美少女同級生に応援とかもされたい!なんていうかモテたい!
でも違う!それとこれとは違う気がする!」
と意味不明な熱弁を振るう田中さん
それに対して縁下さんが
「田中はさ、一回清水先輩好き好きオーラを抑えてみなよ、最早ネタみたいに見えるんだと思うよ」
と正論を述べる
「『好き』を『抑える』ってどういうことだ?!」
パニックになる田中さんに2年生たちは冷ややかな視線を送りつつ
「…知ってる、お前がそう言うやつだってことは入部初日から知ってる」
と呟く
「入部初日に何かあったんですか?」
と聞くと、木下さんが
「初対面プロポーズ事件聞く?」
と答えてくれる
「初対面プロポーズ事件?!潔子さんにですか?!」
「そうそう、コイツさ入学したての頃金髪で強面でヤベェ奴がいるって感じだったんだけど、入部初日に体育館に入ってきた清水先輩を一目見た瞬間、けっこんしてください!って言ったんだぜ」
「ヤベェ奴がいると思ってたけど、思ってた100倍ヤベェ奴だったもんな」
成田さんと木下さんが説明しながら爆笑している