第9章 春高!
今あの10番…
翔陽くんっちゅー名前みたいやけど
わざとクロス締めてブロック跳んだよな
意図的に…
リベロがおる方に治にストレート打たしよった
ほんでさっきまでずっと翔陽くんは超速攻で飛び出してきてたのに
今は全員に紛れて最後まで誰が打ってくるか分からんかった
「何や腹減ってくんなぁ」
治がボソっと呟く
「はぁ?」
何で試合中に腹減るねん
何の話やねん
翔陽くんが後衛に下がったタイミングで
12番がピンサーで出てきた
過去の烏野の映像見てても、ほぼ毎試合ピンサーで出てきとる選手やけど、まだ調子には波がありそうやった
こっちから見てると、もの凄い緊張しとるように見える
眼鏡と違ってブーイングも耳に入ってるやろ
ピーッと笛が吹かれてからも落ち着かん様子で…
…
あ?なんか急に雰囲気…ちゃう?
何が起こったんや
12番が放ったサーブは揺めきながらアラン君の手を掠めてコートに落ちる
『ここで出ましたサービスエーース!
リリーフサーバー山口忠、役名に恥じぬ働きです!!
均衡を破ったのは烏野高校、ここで逆転ー!』
完全に見くびっとった
「うわぁ、ヤラれた!」
思わず声が出る
おもろいなぁ烏野
前評判より全然楽しませてくれる
それでも勝つんは俺らやけど
飛雄クンのスーパープレーや、キャプテンのバックアタックで執拗に食らい付いてきよる
気づいたらセットポイントぎりぎりの争いになってて、チラッと得点ボードの方に目をやると、祈るように歩が両手を合わせとる
祈っても無駄や
勝つのは俺らやし、お前は俺んとこに帰ってくるんやから