第9章 春高!
ー宮侑side
ユース合宿からそんな時間経ってへんやん
飛雄クンになにがあってん
あんなトスアップちゃうかったやん
それにあの眼鏡…
試合前の態度もめっちゃ生意気で歩にも馴れ馴れしいし、飛雄クンは名字で呼んどるけど、アイツは歩のこと平然と名前で呼んどった
プレー中も顔色ひとつ変えず囮にも釣られず淡々とブロック、ブーイングの中でも半笑いでサーブ
どいつもこいつも…
そんで10番
飛雄クンの相棒のチビ
まさか治相手にコミットしてくるとは思わんかったしびっくりした
1回目は奇襲みたいなもんやったけど、コミットもそう何回も通用せーへん
ネット際で治と押し合いになる
あの身長で183ある治のとこまで跳ぶとは…
ほんまエライバネやな
んで、それ以上も以下もない
あっけなく治が押し切って
「あれ思てたより手応えないんやな」
って吐き捨てよる
ほんまええ性格しとるわ
と思ったら今度は治はサボって囮に入ってきよらん
「サボんなやサム!」
「!サボってへんし」
「うそつけ!「とりあえず囮に入ります〜」みたいな入り方しよってバレバレや!」
「うっさいわ、全部全力で跳んどったら最後まで保たんわ」
「打ったら決まるんやからキバれや!それともあの小っこいブロック怖いんか!」
「怖いワケあるかい」
俺らが言い争ってると、烏野のチビが
「マジっすか!!」
と驚いた顔でネット越しにリアクションする
怖いわけないやろ
お前みたいな、よぉ跳ぶだけのチビ
そう思ってたのに…
飛雄クンのサーブから始まったターン
何回かラリーが続いて
サボんなサボんなサボんな
って双子テレパシー送りながら治に上げたトス
チビのブロックを避けるように治が打ったスパイク
ストレートに打った先には…リベロ
そこから全員が助走して入ってくる
飛雄クンの手にボールが吸い込まれる
誰にセットするんや
10番も飛び出してこん
誰や、誰が打ってくる
そう思った時にはライトからの攻撃が決まってた
『決まったー!ライトから主将澤村ー!烏野高校ブレイク!再び同点〜!』