第9章 春高!
侑からの強烈なサーブが放たれる
大地さんのレシーブは乱れて、ボールは直接稲荷崎コートに返り
ライトの選手がレシーブしたボールを侑がセット
…した瞬間にはもう治の掌にボール
また!双子速攻…
と思ったけど
一瞬でボールは稲荷崎コートに転がる
『今度は烏野が止めましたー!
宮兄弟を止めました!一年生月島蛍ーッ!』
宮兄弟の双子速攻をツッキーがドシャット
会場が騒然となる
「わぁぁぁ!!歩ちゃんっ!月島くんすごいっ!すごいよっ!」
興奮したやっちゃんは私の両肩を掴んでカクカクと前後に揺らす
ツッキー、翔陽に目の前チョロチョロされんの嫌って言うてたもんな…
変人速攻
決して無敵なわけじゃないから、ついてくる選手は今までにもいた。この技はやっぱり初見殺しで、ブロッカーが速攻に慣れて、来る!と分かってると止められる可能性が増える
そんで、間違いなくツッキーはめっちゃ慣れてる
うわぁ
悪い顔してる…
宮兄弟を止めただけやなくて翔陽も影山くんも変人速攻の使い手全てを見下したような顔してる
ツッキー絶好調やん
仲間同士なのに何故か闘争心に火がついた影山くんが、ツッキーにあげるトスをもう一段高くあげる
この感じ伊達工との練習試合の時にもあった
ここまで来い!と言わんばかりの強気なセットアップ
ツッキーも助走距離を確保し、飛び上がる
190cmを超えるスパイカーの最高打点から繰り出されるスパイクは反応したところで対応出来ず、ツッキーのスパイクはブロックの上から稲荷崎コートに叩きつけられた
『決まったー!!
攻守に輝きを見せます、月島蛍ー!!』
「でも…なんか月島くんイェーイ!て感じじゃないね?」
やっちゃんがコートを見ながら言う
コートの中では、ツッキーと影山くんがガンの飛ばし合いをしてる
「はは、多分影山くんに最高打点を引っ張り上げられたんが癪に触ったんちゃう」
そう言えばさっき、ツッキーおかしなこと言うてたな
私とツッキーが仲良くしてると、影山くんに誤解されるとかなんとか…?
なんであそこで影山くんの名前が出てきたんやろう