第9章 春高!
そう思ってみんなシミュレーション通りの位置取り
でも
それでも捕まえられないのが侑のサーブ
侑の手から放たれた揺らめくボールはノヤさんの所へ
オーバーで対処しようとするも弾かれてボールはコート外に出てしまった
『またもサービスエーース!!』
実況と会場が盛り上がる
侑サーブのターンになって点差が開きだす
次のサーブはノヤさんがレシーブして
東峰さんがスパイクを放つ
…と…
リベロからのパスを侑がセットした瞬間
ボールはあっという間に烏野コートに刺さっていた
「今のはまるで…日向と影山くんの…」
そう言いながらやっちゃんが私の方を向く
「うん…変人速攻やった…双子バージョンの」
「あれって…誰でも出来るもんじゃないよね?」
「当たり前やん、でも…多分あの双子は…
あれカッコええやんやってみよう!ってやったら出来たってやつちゃうかな?」
「…そんなのアリなの…次元が違うじゃない…だって…あの速攻だって、2人が喧嘩して何度も何度も練習して、やっと出来る様になったんだよ?!それなのに今見て、今…出来るなんて」
「確かにあの速攻を見たんは初めてかもしれんけど、侑と治は生まれた時から毎日毎日一緒におって、小学生ン時から何年も何年も毎日一緒にバレーしてる…アイツらの仲がええかは知らんけど、治は多分当たり前のようにそこにボールが来るって分かってたんやろ」
「双子…怖すぎるよ」
やっちゃんがギュッと両目を瞑る
それから田中さんのスパイクや東峰さんのサービスエースで何とか食らい付いていくけど、一歩でも足を踏み外せば即ゲームオーバーっていうようなヒリついた試合展開
そして
角名さんの猛烈なスパイクを辛うじて大地さんが拾って
影山くんがセット
その瞬間にはもう翔陽は空中にいて、その掌に完璧なボール
なのに…
ドォォォォオ
轟音がして、翔陽が放ったスパイクは侑にドシャットされボールは烏野コートに転がる
!!!!
『シャットアウトー!稲荷崎今度は本家を封じたーーー!』
『ナーイスキールブローック!!!』
実況と稲荷崎の応援が耳に入る
でも目の前の状況を理解しきれず私とやっちゃんは立ち尽くした