第9章 春高!
ー歩side
「梟谷の試合観れてよかったな!翔陽」
「おう、木兎さん超キレキレインナーかっこよすぎたな!てかお前いつの間に木兎さんと付き合ってたんだ?」
「は?付き合ってないし」
「だって木兎さんが俺らの方指差した時に、木兎の彼女だ!ってギャラリー騒然としてたじゃねぇか」
「ちゃうねんって、あれは開会式の前に木兎さんが私を急に抱き上げたりしたからみんな誤解してるんやって」
「へー、なんだそっかぁ…俺は、お前と木兎さんお似合いだと思うけどな」
お似合いなんて言われると照れくさい上に、壁ドンされた時の真剣な木兎さんが浮かんできて、私は慌てて頭をブンブンと左右に振る
そうして翔陽と話しながら体育館を出ると、音駒のメンバーとバッタリ出会した
「オイヨイヨイ
おのぼりカラスさんじゃねぇの」
黒尾さんがニヤニヤしながら近づいてくる
「良かったね、はるばる来たのにすぐ帰ることになんなくて」
煽るような事ばっかり言ってくるのは、黒尾さんもそれだけ余裕がないってことなんかも
「歩チャンどうよ〜今日の俺ら良かった?」
私の肩に腕を回しながら黒尾さんが言う
「はい、みんな凄かったです」
「ツッキーなんて、まだまだ俺の足下にも及ばないって気付いちゃったんじゃないの?」
黒尾さんがわざと煽るようにツッキーの方を見ながら言うと
「はぁ…なんでイチイチ僕に絡んでくるんですか」
ツッキーはあからさまに嫌そうな顔をする
「何だよ張り合いねぇな、てか俺がわざと歩ちゃんにこーんなに密着してんのに何の文句も言ってこないって何なの?余裕なの?」
「…はぁ?何の話ですか…僕には関係ないんで」
ツッキーの返事に黒尾さんが怪訝な表情をする
そして一瞬のうちに私たちの間に流れる気まずい雰囲気を感じ取って
「あーあ…ノブカツ君はお子ちゃまだねぇ」
と言いながら黒尾さんは私の肩をグッと引き寄せる
明らかにイラっとした表情で黒尾さんを睨みつけるツッキー
「お二人さんに何があったか知んないけどさぁ、あんな所有欲丸出しのプレゼントしといて、関係ないはないでしょ」
所有欲丸出しのプレゼント…とは
月のモチーフのネックレスのことだろう