第8章 それぞれの春高まで
「誰にも言えずに悶々としてたから、影山くんに聞いてもらえてスッキリした」
「俺の方こそ、橘さんのアドバイスで、なんかいい感じになった気がする」
「そう?いやでも、まじで乱闘寸前やったけどな」
いつもと変わらない口調で彼女が笑う
「ありがとうな」
「わお、影山くんから感謝の言葉が聞けるとは」
「なんだよ、いつも言ってんだろフツーに」
軽口を言い合いながら2人でボトルを拾って、体育館の出口に向かって歩き出す
「でもまぁ…勢いでぶちまけたけど、あの話すんのは勇気いったわ」
「そうか…じゃあ俺たちだけの秘密だな」
そう言うと、橘さんはニコっと笑った
大丈夫
普通にやれる
彼女を日本代表の試合に招待する
そのための一歩
春高オレンジコート
俺たちは足並みを揃えて、体育館から一歩を踏み出した