• テキストサイズ

FLYHIGH(ハイキュー)

第8章 それぞれの春高まで


ー影山side


彼女に出会ってからの半年

自分の中の新しい感情を教えてくれた君と共に明日、オレンジコートに向かう

その前にどうしても言っておきたかった


人の気持ちを考えるのは苦手だ

で、多分そういうことにも疎いと自分で思う

それでも月島が橘さんのことを好きだってことと、そしてまた彼女も…そうなんだろうって

毎日見てりゃ、それぐらい分かる


でも伝えずにはいられねぇ

この気持ちをなかったことには出来ねぇ


彼女とどうこうなる未来がすぐに来なかったとしても






「ひとつだけ教えてくれ」

「何?」

「橘さんは、俺のこと…好きだって思ったこと、あったか?」





そう訊ねると、彼女は驚いたように目を見開き、それから恥ずかしそうにして俯く

しばらく沈黙があって




「好きやったよ」

「…え?」

「転校してきて…初めてバレー部の見学した日…

バレーしてる影山くんに釘付けになった

それから一緒に勉強したり、部活したりしてるうちに、私は影山くんのこと好きやって気付いた

だから…青城であんな風に言われて…」


そうだったのか

あの時

月島に嫉妬して、ひでぇ事言って置き去りにした時…

橘さんは俺のこと…



「本当、悪かった」

「ううん、で…失恋したって思ったから髪もバッサリといって…」


そう言って彼女は、バッサリいってから、もう伸びつつある毛先に指で触れる

あれからそれだけの時間が経ったのだと思い知らされる



動揺しているのか彼女が持っていたドリンクボトルがゴロゴロと床に散らばる

「あわわわ」

慌ててしゃがんで拾おうとする彼女に駆け寄る



「それが知れただけで、充分」


自分が初めて好きだと思った人と

両想いだったって事実

その思い出だけで頑張れる

小学生みてぇだけど

なんか清々しい気持ちですらある



「前も言ったけど、俺はずっと橘さんの味方だ」

「ありがとう影山くん」

「マネージャーとして…これからも俺を支えてほしい」

「もちろん!改めてよろしく」

彼女の方から右手を差し出され、握手をする

今はまだ選手とマネージャー

それでいい


「この前の話やけど」

彼女が口を開く

多分、自転車置き場で話したこと
/ 554ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp