第8章 それぞれの春高まで
ー月島side
こんなに感情を掻き乱されたの本当生まれて初めて
隙だらけで無自覚で
悪気なく異性と仲良くしてしまう歩
嫉妬するなんてバカみたいって分かってても、君の過去を知ってる男や、普段見慣れない君の姿を見た男がいるって思うとイラってする
だけど一方で、僕とのことを神仏に祈るような一面もあるから本当タチ悪い
そんで極め付けには、さも当然かのように軽々しく
これからずっと一緒にいる
なんてこと平気で言うもんだから
嬉しいやら恥ずかしいやら、自分でも知らなかった感情が次々と湧き上がる
ここが初詣で人が溢れ返ってる神社じゃなければ、抱きしめてどうにかしてしまっていたかもしれない
自分の発した言葉の破壊力も知らずに
「な…え?!私なんかおかしいこと言った?」
とか言って慌てる歩
「おかしくはないけど…そんなこと言って、どうなっても知んないからね」
「…?」
「一生、離してあげないよ」
そう言って繋いでいた手を、指を絡め恋人繋ぎにして、ギュウと力を入れて握る
「…望むところですけど?」
歩もギュウと握り返してくる
お参りをして、帰り際
「まぁ私も行くねんけど」
と言いながら、歩は必勝祈願のお守りをくれた
まぁ…無自覚で天然男たらしで隙だらけでハラハラするけど
なんだかんだこうして、ずっといるんだろうって思ってた
…なのに