第8章 それぞれの春高まで
「うそだぁ、指高測る時なんて2人でコソコソ端っこに行ってたじゃんっ」
「ちゃうやんっ!アレはツッキーが…」
「歩ちゃん…顔真っ赤だよ」
「やっちゃんこそ!」
……アハハッ
一瞬の沈黙があり、2人で顔を見合わせて笑う
「私、やっちゃんがいてくれて良かった」
「私もだよ、本当にバレー部に入って良かった」
2人でロッカールームから出て、体育館に向かう
中に入るとまだ誰もいない
「あれ?」
「翔陽めっちゃ早く自主練に出て行ったくせに、どこいったんやろ?」
「私が来た時、外で影山くんと練習してたから、部室で着替えてるのかな」
「そっか〜、あ、この白帯に貼ってるテープ、やっちゃんが言ってたサーブ練のやつ?」
「そうそう、ネットを9分割して狙ったとこにサーブ入れる練習してるんだよ」
「へー、あ!真ん中のトコ剥がれかけてる、テープ取ってくるわ!」
「あ、ありがとう」
体育倉庫にテープを取りに行って戻ってくると山口くんがいた
「谷地さん、おはよう」
「おっ!おはよう!山口くん」
「何してんの?」
「あっ…あそこのテープが剥がれかけてて、今歩ちゃんがテープを取りに行っててくれて」
「貼り直すの?手伝うよ」
はっ!
これはもしや私はお邪魔なのでは…
「あ、山口くんおはよー!やっちゃんでは届かへんからヨロシクっ!」
私は山口くんにテープを押しつけて、体育館の出口に向かって走り出した
「えっ?!ちょ、橘さ…」
山口くんの声を背に出口に差し掛かった所で、中に入って来ようとする影山くんが視界に入る
アカーン!
今は取り込み中!!!