第8章 それぞれの春高まで
「あのねっ…合宿の話も聞きたいんだけど…その前に1つ相談に乗ってほしいことがあって」
やっちゃんがモジモジしながら言う
「なに?」
「あの…なんかここ2日ぐらいおかしいの」
「おかしいとは?」
やっちゃんは、うわぁぁとかぬぁぁぁとか1人で悶絶しながら
「なんか…山口くんがいつもと違うの」
消え入りそうな声で言った
「や、山口くん…?!」
コクコクとやっちゃんが頷く
「歩ちゃんも日向もいないから、毎日山口くんがバス停まで送ってくれてたんだけど…なんかね、前に選手の間でマネージャーの中なら誰がタイプかって話になったらしいんだけど」
「私がノヤさんと田中さんに告白してないのにフラれたやつな」
「そうだったの?!で、その時の話を縁下さんに聞いたみたいで…山口くんに、俺は谷地さんって言ったよって言われて…」
真っ赤な顔をしながらやっちゃんが言う
「マネージャーの中だったらって話だから、好きって言われたわけでもないのに意識しちゃっておこがましいよね!」
ふと山口くんのことを考える
そう言えばいつやったか…
山口くんはやっちゃんのこと可愛いって言うてたことがあった気がする
もしかして山口くんはやっちゃんのこと真剣に好きで、邪魔者(他の一年生)がいないうちにここぞとばかりに、積極的にいったとか…
やるなぁ…山口
「山口くんっていつも月島くんといるからそんなに思わなかったけど、すごく背も高くて…」
「それって…山口くんのこと好…
「うわぁぁぁ!言わないで!言葉にしたら真実になっちゃう!」
赤面しながら変な動きをするやっちゃんを見て、微笑ましくて笑う
「翔陽のことは、結局どう思ってたん?」
「…わかんない…日向と一緒にいてドキドキしたりワクワクしたり沢山したけど…もしかしてこの気持ちは憧れ?に近いのかなって思うんだ…日向は私には眩しすぎる」
「そっかぁ」
「直射日光浴びるのは歩ちゃんだけで充分、これ以上浴びたら熱射病になっちゃいそう」
そう言ってやっちゃんが笑う
「歩ちゃんは?月島くんと」
「んー、最近のツッキーはもう直視でけん」
「…確かに…最高到達点の計測の時とか、すっごいイチャイチャしてたもんね」
「ッ!してへんし!」
顔が火照るのが分かる