第8章 それぞれの春高まで
ー歩side
合宿が終わった帰り道、コガネがみんなに連絡先を聞いている
私はその様子を少し離れたところから微笑ましく見ていた
「ねぇ」
声をかけられて振り返る
珍しく国見ちゃんが1人で立っている
「あれ、金ちゃんは?」
「…日向と話してる」
「そっか、国見ちゃんはもうみんなと連絡先交換してきたん?」
聞くと、めっちゃ嫌な顔してウン…と答える国見ちゃん
「めっちゃ嫌な顔してるやん」
「…だってアイツら、なんか毎日ガムシャラとか根性とか暑苦しいライン送ってきそうじゃん」
「あはは、間違いない。そのうち練習休みの日とかに、みんなで集まって練習しよーとか言い出すんちゃう?」
「絶対いかない」
「やろーな」
「でも、歩が行くなら行く」
「私?!…誘われるかな?それ」
「当たり前じゃん、歩はこの合宿メンバーのマネ…姐さんなんでしょ?」
「いや、何で言い直したん?マネージャーでええやん」
「はは、だから歩も…はい、連絡先」
そう言って国見ちゃんのスマホが差し出される
「あ、うん」
私もスマホを取り出し、国見ちゃんの連絡先を登録する
「くーーーーにーーーーみーーーー!!!!」
「お前コラ!油断も隙もないやつだな!」
私たちが連絡先を交換してることに気づいた他のメンバーが、走ってコッチにくる
「姐さーーーん!俺らにも連絡先ーーー!」
「俺も俺もーーー!」
結局ほぼ全員と連絡先を交換して帰路についた
疲れ果てすぎて、そのままベッドに倒れ込む
「あーー、家のベッド最高」
…そのまま少し眠っていたようで、起きてスマホを確認する
着信 二口さん
?
二口さん?
何でやろ
私は電話をかけ直す
『…もしもし』
「あ、もしもし二口さん?」
『お前何時に寝てんだよ、小学生か』
「今日まで宮城県の擬似ユース合宿やって、もう疲れ果てすぎて」
『は?うちからも黄金が行ってるから、それやってんのは知ってるけど、何でお前が合宿と関係あるんだよ』
そりゃそーなるわな
マネージャーやのに擬似ユース合宿に招集されるわけないし
私はコトの顛末を話す