第7章 選抜合宿
「二度見すんなよ」
「付き合ってって…ナニニ?」
警戒しながら翔陽が訊ねる
「ブロック練習。自主練なら球拾い以外やったって問題ないデショ」
「!」
「別に無理にとは…
「ツッキー入りまーす!!」
自主練をしてるメンバーの方に向かって、翔陽が叫びながら走り出す
拝啓
大地お父さん
今日ツッキーが翔陽を自主練に誘いました
思わず心の中で大地さんに手紙を書く
「ツッキー」
「なに?」
「もしかして、球拾いしかしてない翔陽にスパイク打たしてあげるために自主練を?」
「ちがう」
ツッキーは被せ気味に否定した後、真剣な表情でコートを見つめる
「本当のこと言うと、これから先全国と戦えば、ネット際の駆け引きは相当シビアになるでしょ」
「そやな」
「日向にその駆け引きが出来るかは置いといて、アイツが相当見えてるスパイカーなのは間違いないから…使わない手はないよね?」
「…なんや、翔陽のためなんやったら優しすぎて惚れるとこやったのに」
「じゃあ、そうゆーことにしといてもいいけど」
ツッキーはニヤッと笑うと首からかけてたタオルを私にバサっと被せて
「まぁ…見ててよ」
そう言ってコートに入っていく
見ててよなんてわざわざ言わんくても
気付いたら目で追ってるってことはまだ本人には言わんとこ
翔陽が練習に参加すると、コガネと金ちゃんもブロックに入る
宮城中のブロッカーが烏野10番を止めたいって思ってるんやなって思うのと同時に、死闘を繰り広げるライバル校の選手でもこうやって一緒に練習してると同年代の仲間って感じがしていいなぁって思う
こうやって切磋琢磨して他校にもバレー仲間出来ていくの、なんか、いいなぁ
翔陽相手にブロック練するツッキーの顔
ちょっと楽しそう
拝啓
大地お父さん
ツッキーと翔陽が楽しそうにバレーの練習をしています
バレーやってる時に、いやそれ以外も含めて
楽しそうなツッキーは珍しい
ああ
その顔、今までで1番好きかもしれん
そう思いながらツッキーに被せられたタオルをぎゅっと握りしめた