第7章 選抜合宿
「じゃあ俺らも名前…」
と言いかけた金田一に被せ気味に
「歩って呼ぶね」
国見が歩を真っ直ぐ見据えて言う
急に呼び捨てにされて、少し照れるような彼女の様子に苛立ちが募る
「さっすがー!選抜メンバーは違うな!俺らの姐さんを呼び捨てにするとは」
サポート選手の1人が言うと笑いが起こる
「てか橘さん、歩ちゃんて名前なんだ〜国見よく知ってたな」
黄金川が言う
ほんとそれ
国見が歩と若干親しいの何で?
そういや合宿初日も体育館前で楽しそうに話してたし…
歩は初対面の人とも10年前から知り合いみたいな感じあるけど、国見はそんなタイプじゃないだろうし…
「歩は青城にスパイに来たことがあったからね」
「ちょっ!言わんといてっ」
「姐さん、他校にスパイとかさすがすぎる!」
「いやそれには理由が…ちょっ!国見ちゃんっ!」
歩がガタッと席を立つと、国見の背後に周り耳元に何かコソコソと話しかけてる
彼女のコソコソ話に耳を傾けながら
「ははっ、言わないよ」
と国見が笑う
国見ってあんな顔するんだ
そして気のせいだろうか
チラッと僕の方を見た気がする
…むかつく
「えー!姐さん何て言ったのー?コソコソして気になるんだけど」
「そーだそーだ!言わないって何?2人の秘密?!怪しいな〜」
「もうっ!何もないから!この話は終わりっ!そういえば…白鳥沢の寮って二人一部屋なん?」
無理矢理話題を変える歩
「そーだよ、何で?歩の部屋に誰かいたの?」
五色が答える
「いや、二段ベッドやったし机と椅子も2つあったからさ」
「じゃあ姐さんは今、1人部屋なわけか」
「お前、行こうとか思ってんじゃないだろうな?!」
サポート選手の1人を五色がたしなめる
「冗談やんな〜だって女子寮忍び込んだら停学なんやろ?」
「何で知ってるの?」
歩が言うと五色が不思議そうに訊ねる
「さっき白布さんが言うて…あ」
「白布さん?!白布さんと知り合いなの?」
「いや…それはカクカクシカジカで…」
「あーっ!あれか!春高予選の時に猛スピードで背後から白布さんにタックルかました烏野のマネージャーってお前だったのか?!」