第7章 選抜合宿
ー白布side
昨日から疑似ユース合宿とか言って、県内の有望な一年生を集めてウチの体育館で練習してるらしい
俺たちは別の体育館で練習してたけど
牛島さんがそっちで練習試合してたらしい
腹立つ
よその一年小僧じゃなくて、俺ともっと練習してほしいのに
と思いながら歩いていると
遠くに神々しい人影が見える
あれは牛島さんっ!
と、天童さんと…女?
何故か女子寮の方に歩いて行く3人
自然と後をつけていた
あのジャージうちのじゃないし…
どっかで見覚えがあるような…
もしかして牛島さんの彼女…?!
これは許されない
どんな女だ…
牛島さんに相応しい女か俺が見定めてやる
3人に気づかれないように女子寮に入る
「女子寮はここだ、部屋は寮母さんに確認するといい」
「ありがとうございます」
女は牛島さんに礼をすると寮母室に向かい、牛島さんと天童さんはこちらに向かって歩いてくる
女子寮に忍び込んだことがバレたら停学は免れない
気づかれないように隠れながら様子を伺っていると、部屋の鍵を預かった女が戻ってきて、ある部屋の前で立ち止まり扉を開ける
「ねぇ」
後ろから肩をポンと叩く
女が驚いて振り返り
「うわぁぁぁぁっっ!!!」
幽霊でも見たかのように大声で叫ぶ
「ちょっ!しっ!静かにっ」
彼女の口を慌てて塞ぐ
「なにっ?!誰か何かあったの?!」
寮母さんの声がして、慌てた俺は彼女の口を押さえたまま開けられた扉から部屋に押し込む
バンッドサドサッ
弾みで転んだ彼女に躓き、部屋に雪崩れ込む
「○×☆※!!〜!!」
「シーッ!シーッ!俺、全然怪しくないから」
慌てて言うけど、どう考えても怪しい
床に押し倒した風になってるし…
気まずさが押し寄せてきて、パッと立ち上がって部屋の電気をつけると、床に仰向けに倒れる彼女と目が合う
「…君…あの時の」
春高の代表決定戦の時、背後からぶつかってきた烏野のマネージャー
「…白布さん??」
向こうも驚いたように眼を見開く
「悪い」
「まじでビックリしました」
でもまさか牛島さんの彼女が烏野の軽トラ娘だったとは…
床から上体を起こす彼女をまじまじと見ると
…なるほど
白い肌に長い睫毛
長い手足
さすが牛島さんが選んだ女性
よく見ると美人だ