第7章 選抜合宿
後ろから声がして振り向くと
「天童さん」
「おっ、俺の名前知ってたの?嬉しいな〜」
そんで隣にウシワカさん
「天童、軽トラ娘とは何だ」
「あ、この子ね烏野のマネージャーなんだけど、全力疾走して白布に後ろからぶつかってさ〜、白布が軽トラに轢かれたかと思ったって言ってたんだよ〜」
「そうか、よろしく。軽トラ娘」
「いやいや、それ名前じゃないんで」
「そうか、本名はなんだ?」
「橘 歩です」
「橘 歩…覚えておこう」
別にいいですー!!!
私の名前なんて覚える必要ないんで!
「何でここにいんのか知んないけど、またねー」
天童さんがヒラヒラと手を振ってアリーナに入る
「えー大変ありがたいことに白鳥沢3年とOBの皆さんが練習試合の相手をしてくれることになりました」
穴原コーチが説明する
うわー贅沢すぎる
でも…翔陽…
見てるだけなんて辛いよな
複雑な気持ちでビブスを配って歩いていると
「烏野10番ハッケーン!叩き落としたらぁ!」
と天童さんが翔陽をロックオンする
目を輝かせる翔陽
…が
「すみません!ドリンク作って貰っていいですか?」
コート内の選手に空のボトルを渡されると、天童さんとウシワカさんに一礼し、翔陽はアリーナを後にする
2人は訝しげにその姿を見送っていた
1セット目を白鳥沢OBチームが勝利を収め、休憩になる
「タオルどうぞ」
白鳥沢のメンバーにタオルとドリンクを配っていると、天童さんが翔陽に近づき
「で、お前は何で出ないの?」
と訊ねる
「お、俺選抜メンバーじゃないんで」
「ハァ?!じゃあ何でいるの?」
「…押しかけました」
「ブァーヒャッヒャッ!若利くん聞いた?!コイツほんとクレイジー!」
天童さんが笑い転げる
「それで…
お前は何をやっている?」
静かに、しかし高圧的な声色でウシワカさんが言う
翔陽はキュッと唇を引き結ぶ
「モップ一回かけんべ」
白鳥沢のサポート選手に声をかけられた翔陽は、ウス!と返事をして体育館倉庫に向かって歩き出した