第7章 選抜合宿
変なTシャツ騒動もひと段落して、昼休み
翔陽と一緒に烏養コーチに報告のため、坂下商店に向かう
いつの間にか12月になり、吐く息も白い
「で、行ったら練習に入れてもらえるとでも思ったの?お前は」
「…ずっと先にいるみんなに、何とかして追いつかないとと思いました」
「だからって迷惑をかけていい理由にはなんないの!」
「ウス」
「で、球拾いやります宣言してきたんだって?」
「ウス」
「自分で足突っ込んだんだ、後悔すんなよ。あと…
球拾いナメんなよ」
烏養コーチの話が終わると、翔陽は坂下商店を出て武田先生の元に向かった
「橘、ちょっといいか?」
続いて行こうとした私をコーチが呼び止める
「あ、はい」
「今回お前がいてくれてよかったよ」
「いえ、私は何も」
「日向には言ってねぇけど、鷲匠先生はな…日向はいてもいなくてもどっちでもいいって感じなんだとよ」
「…そうですか、昨日も影山くんのおらん翔陽には価値ないみたいに言われてました」
「そっか…アイツにとっちゃ、苦しい時間になるかもしんねぇな」
「…そうですかね?」
「え?」
「翔陽は大丈夫ですよ」
「そうか?」
「いつやったか影山くんが言ってたんです。白鳥沢の天童さんに、バテてる後半になってのデュースで絶望したでしょ?的なことを言われたらしいんですけど」
「ほう、初耳だな」
「その時、影山くんは俺が絶望するとしたら、それはバレーができなくなった時だけって答えたって」
「はは、影山らしいな」
「多分…翔陽もそうですよ、翔陽が本当に絶望するとしたらそれはバレーが出来んくなった時だけちゃいますか?そやし、一分でも一秒でも長くコートにおるために、一試合でも多く試合するために、乗り越えなければいけない壁なら、嬉々として登りますよ」
「お前、ほんとアイツらのことよく分かってんな」
「それがマネージャーの仕事ですからね!じゃあ今日も翔陽とツッキーと白鳥沢行ってきますね」
「頼んだぞ」
私はコーチに一礼して、坂下商店を後にした
頑張れ翔陽
辛く険しい壁やとしても。