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FLYHIGH(ハイキュー)

第6章 日常


ー赤葦sideー


我ながら大胆なことをしたと思う

でもこのまま彼女を返してしまったら、すぐにでも誰かのモノになってしまいそうで、怖くて…

唇を離すと彼女は眼を見開いて驚いてる

「…意識した?」

努めて平静を装いながら言う

たかが1つ上なだけだけど、年上の余裕があるって思われたい

歩ちゃんは、顔を真っ赤にして俺から眼を逸らす


「今の歩ちゃんの好きな人が俺じゃないことぐらい分かってる。でも俺の気持ち知って、意識してよ」


はっきりと好きです、付き合ってくださいって言うのは怖くて言えないから


今はただ、意識してくれればいい


「え、そ…そんな困ります」

俺の身体を手で押して離れながら、か細い声で彼女が言う

いつもの元気でハツラツとした歩ちゃんからは想像もつかない女の子の部分

そんな姿を見て鼓動が高鳴る


でも困らせる気はなかったんだけどな…




「困ります…こんなん…意識するに決まってるでしょ」

「え?」

「赤葦さんみたいな素敵な人が…何で私なんかを…」


彼女は俺の胸を両手で押さえながら俯く


今、素敵な人って言った?


これ、全く脈なしでもないってこと?





「でも私…多分、今、ツッキーのことが好きです」



「知ってるよ…君はいつも月島の話ばかりだから」



顔をあげた彼女の目から涙が溢れる


そんな顔しないでよ…


帰せなくなる




「だから、言ったじゃん。歩ちゃんの好きな人が俺じゃないのは分かってるって」


そう言って努めて平静を装って、彼女の手を取り歩き出す


「さぁ、東京駅まで送るよ」


11月ともなると日が傾くのも早い

夜の帳が下ろされ、寒さが増す

彼女の体温を覚えていたくて、ずっと強く手を握ったまま歩いた

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