第6章 日常
ー歩side
木兎さんってめっちゃお兄ちゃんとしか思ってなかったけど、背も高いし、身体も鍛えられてるし、真面目な顔して壁ドンされたら、めっちゃ戸惑う
「あの…」
「まぁなんだ、すぐにどーこーってのじゃねーよ!そんな警戒すんな」
そう言ってニッコリ笑う木兎さん
いつもの木兎さん
壁に置かれた手が離される
こんな人と一緒にいられたらきっと毎日楽しいのは分かってるけど…
でもやっぱり私は…
「列動いたぞ、いくぜ」
「あ、はい!」
私たちは絶叫アトラクションに乗りまくり、お昼にみんなと合流した
「お昼何食べますか?」
「イタリアン」
「中華」
「量が多いとこ」
みんな口々に食べたいものを言って、赤葦さんを困らせている
「歩ちゃん、ちょっと」
後ろから声をかけられて振り向くと、木葉さん
木葉さんとちゃんと話すの初めてかも
「なんですか?」
「さっき乗り物乗ったとき、カチューシャ外した?」
「あ、はい。何回か付けたり外したりしてました」
「髪、ここの上のとこすごいグチャッてなってるよ」
せっかく従姉妹にセッティングしてもらったのに、何回もカチューシャをつけ外ししたせいで、髪が乱れてしまった
けど、どうなってるか分からんから直せへん
「えー!自分でやったんじゃないんで、直せません」
そう言うと、やれやれといった様子で木葉さんが私のカチューシャを外して、髪を直し始める
「多分、反対側と同じはずだからこうしてこうして…」
手際良くセッティングされ、最後には丁寧にカチューシャまでつけてくれた
「一回鏡見て確認しなよ」
そう言われたので、携帯のミラーで確認すると、朝セッティングしてもらった通りの髪型に戻ってた
「わー!ありがとうございます!木葉さん!さすがミスター器用貧乏!!」
「それ褒め言葉じゃねぇから」
「私この二つ名めっちゃ気に入ってるんです、会ったら絶対言おうと思ってました」
「何宣言?!ほんと…おもしろい子だね」
「いやいや、器用貧乏の破壊力には負けます」
「別に俺言ってないからね」
「まぁでも貧乏は知りませんけど、ほんと木葉さん器用ですね。何でも出来そう!将来何にでもなれそうです。社会人なのも目に浮かぶし、バレー続けてる気もするし、両方かも!」