第6章 日常
ー木兎side
「え、みんな絶叫あんまなんですか?それやったらちゃう乗り物に…
言いかける歩を静止する
「俺ら2人で行ってくるわ!昼ごろまた落ち合おうぜ、行くぞ歩!」
無理矢理歩の腕を引っ張って連れて行く
「ちょ、木兎さんっ!」
俺がこの日をどんなに楽しみにしてたか、お前は知らねーだろ
さっきの赤葦の顔見た瞬間、うかうかしてらんねぇって思った
「みんな放ってきてよかったんですかね?」
アトラクションに並びながら歩が訊く
歩は女の中じゃ、背高い方かもしれねーけど、俺の隣にいると、少し見上げるように話してくる
それめっちゃ可愛い
昨日応援にきてくれてた時はワンピースだったけど、今日は大きめのパーカーにパンツスタイル
こーゆー感じのが好みかも
歩ってなんか何もかもドンピシャなんだよな
顔も可愛くてスタイルよくて、ノリもいいし、あんま女女してないっつーか…
「何ですか?めっちゃ見てきますね」
俺の視線に気づいた歩が言う
「いやー、なんか今日の歩、めっちゃ可愛いわ」
「は?いきなり何言うてるんですか?」
そう言いながらも少し顔が赤くなるの、いい
「そう言えば、昨日のオレどうだった?絶好調だった?」
「キレキレでした!最初ストレート調子良さそうやったけど、クロスも完璧でしたね」
「惚れただろ?」
「あれは惚れますね、ウシワカさんにも負けへんと思いますよ」
こーやってちゃんと見ててくれるとこも、バレーバカな俺についてきてくれるとこも、いい
アトラクションに並んでる列が建物の中に入り、暗がりになる
「惚れてくれたなら、俺と付き合ってよ」
いつもとは違って真面目なテンションで言うと、歩はびっくりした顔でこちらを見る
「…も、もう!またそんなことばっかり言う!からかわんといてください」
「からかってないし、歩、俺に対して油断しすぎ。俺はお前の兄ちゃんじゃないだから」
「え?」
「俺だってちゃんと男だからな」
歩の後ろの壁に手をついて耳元でいう
「ちょ、こんな人前で何し…
「みんなラブラブカップルだな、くらいにしか思ってねーよ」