第6章 日常
「だろ、もっと言ってくれ」
わざと明るく振る舞う夜久さん
コートに視線をやると、戸美のサーブ
ジャンフロ…
黒尾さんが体勢を崩しながら上げたボールをリエーフ君が叩き入れる
「おお!」
そのあと黒尾さんが相手の主将のスパイクをドシャットする
会場が沸き、夜久さんもコートを見る
そして安心したように笑う
黒尾さんてブロックは言わずもがなやけど、レシーブもめっちゃ上手い
ここでデュース
取ったり取られたりしながら一進一退の展開
研磨さんはいつも通り平常運転で、たまにツーぶち込んだりする
そして…
研磨さんからの早いセットアップから、黒尾さんのバックアタックで1セット目を何とか奪取した
夜久さんとハイタッチする
「黒尾さんのバックアタックとか初めて見ました」
「俺も」
2セット目が始まる
MBは毎回ブロックにも飛ぶし、スパイクも打つし、ほんで夜久さんがおらん今、守備の負担も黒尾さんにかかってる
相当キツいんちゃうかな…
イマイチ勢いに乗り切れん
音駒ギャラリーを見る
「繋げ」
横断幕の文字が目に入る
そうやんな
バレーってボールをただ繋ぐだけじゃなくて
一つ一つのプレーが全部繋がってるんよな
戸美はさっきから山本さんばっかり狙ってる
でも山本さんは守備も出来る
集中攻撃されても崩れずレシーブし続ける姿に、応援する方も力が入る
「…歩、氷食い込んでる」
「うわ!すみません」
向こうのピンサーの活躍で逆転される
戸美21:20音駒
「ここで逆転…」
ゴクリと唾を飲み込む
そのあと、黒尾さんの一人時間差でブレイクし、流れがこちらに来る
前のめりになる
向こうのスパイク
リエーフ君のワンチ
黒尾さんのレシーブ
あれ?様子がおかしい
芝山くんに何か言って黒尾さんがコートを出る
「クロ、爪やったんじゃない?テーピングしたら大丈夫だろ」
夜久さんが言う
ここで黒尾さんまで…
不安がよぎる
でもなんかリエーフ君の顔つきが変わった気がした
マッチポイント
リエーフ君の迫力あるブロックを避けようと、相手がスパイクを放った先には芝山くん
きれいにレシーブが上がる
トータルディフェンス
ゾクリと鳥肌が立つ