第6章 日常
「だって音駒VS梟谷の公式戦ですよ?そりゃ東北から来るでしょ?」
「そうなの?でも彼らはどうかしらね?レーヴォチカが言ってたけど、普段頼み事なんかしない研磨君が、歩ちゃんが来たら私に迎えに行くように頼んで欲しいって言ったらしいから。歩ちゃんは特別なんじゃない?」
研磨さんがわざわざリエーフ君に私のこと頼んでくれてた
素直に嬉しいけど、研磨さんってほんまによく分からん
試合見ててもそう
一見やる気なさそうにも見えるけど、それって相手にスパイクモーション全然読ませへんためなんやろし、ジーっと相手見て分析してる感じがすごいする
赤葦さんは冷静なプレーの中の熱い部分がわかりやすい人やけど、研磨さんは熱い部分がないんじゃなくて、見せてくれへんのやと思う
音駒側がわざと赤葦さんに取らせるように返球する
セッターの赤葦さんにファーストタッチさせると攻撃が単調になるはずやけど、ならへんのは器用貧乏の木葉さんのセットアップが上手いから
どっちも上手い
「あー、梟谷も上手だねぇ」
「でも確実に木兎くんを捉えてきてるよ」
「確かに最初みたいにバシバシ決められるのが少なくなった?」
「音駒の守備には穴がないの、打っても拾われる」
アリサさんが訊いて、あかねちゃんが答える
そして
フロアディフェンスを意識しすぎればブロックに捕まる
木兎さんのスパイクがドシャットされる
ドシャットされただけじゃなくて梟谷の様子がおかしい
好調のストレート止められたから、何かモメてるんかな?赤葦さんの表情が険しい
梟谷の不動のエースは木兎さんやけど、なんやかんや3年生もみんな上手いし強い、そやなかったら東京で強豪校なんか務まらん。ムラがある木兎さんを全員でフォロー出来るのが梟谷の強さ
木兎さんに何か言って、赤葦さんの表情はいつも通りに戻る
なんか分からんけど多分、大丈夫なんやろ
赤葦さんがツーのモーションからセットしたボールを木兎さんがクロスに打ち込む
ストレートキレキレやったけど、クロスも絶好調やん
木兎さんのクロスが決まり出してから梟谷が着実にポイントを取り、マッチポイントを迎える