第6章 日常
ー歩side
公式戦で戦う両チームは練習の時と全然違う雰囲気で、贅沢すぎて直視できひん
木兎さんのスパイクも
赤葦さんのセットも
黒尾さんのブロックも
夜久さんのレシーブも
研磨さんのゲームメイクも
素晴らしすぎて、一々胸がギューって鷲掴みされる
隣を見るとあかねちゃんもそうみたいで
最初、音駒ん時だけかなと思ったら、梟谷のスーパープレイの時もハスハスなってたから、私と同じやんってなった
「あかねちゃん、もう心臓が持たんかも」
「歩さん!分かります!スーパープレイが多すぎてもう…リエーフ君の打点の高さもキュンでしたけど」
「そのあとの梟谷の木葉さんのカバーやばかったよな。しかも応援席から器用貧乏〜って呼ばれてたし」
二つ名が器用貧乏とかおもろすぎやろ、誰なん最初に名付けた人、センス良すぎてジェラシーやわ
小さな巨人、最強の囮、コート上の王様、Mr.器用貧乏
器用貧乏の破壊力やばいやん、本人と話す機会あったら絶対言おう
そんで貧乏かは知らんけど、木兎さんの影に隠れてそんなに目立たへんだけで、木葉さんはトスもレシーブもそつなくこなして、ほんまにどのポジションでも器用にこなしていく
梟谷のセットポイントでリエーフ君のサーブが回ってくる
「頑張れ〜レーヴォチカー!」
アリサさんが叫ぶ
「リエーフ君の打点の高さイイ」
横であかねちゃんが言う
「もしかして、あかねちゃんってレーヴォチカのこと…」
アリサさんが私に耳打ちする
それは違う気が…
「もしあかねちゃんがレーヴォチカと結婚したら、あかねちゃんは私の妹に!」
リエーフ君がサーブミスをし、このセットは梟谷が取る
あかねちゃんは興味を失ったように真顔になる
「アリサさん、あの顔見てください。多分ないです」
「あー、恥ずかしい!みなさんごめんなさい」
ミスをした弟の代わりにアリサさんが頭を下げる
「歩ちゃんはレーヴォチカの応援のために来たんじゃないのよね?音駒の誰かに好きな人とかいるの?」
「え、いえ!そんなんじゃないですよ」
「なんだそっか〜わざわざ東北から来たからてっきり」