第6章 日常
ー赤葦side
音駒との準決勝
木兎さんが打ち抜いた俺のトスは、歩ちゃんの手の中
木兎さんが歩ちゃんに向かって叫んだ後、彼女は困ったように俺の方を見た気がした
彼女は音駒サイドにいる
合宿の間中、音駒のマネージャーをしてたんだから当然そっちに思い入れがあるのは分かる
それでも、勝つのは俺たち
今日の木兎さんはいい感じだ
歩ちゃんが来ているのもあるかもしれない
それでもやっぱり音駒は一筋縄ではいかない
ブロックでコースを絞らされて、そこにスーパーリベロがいる
そこに打つように仕向けられてるのかとさえ思う
ピーッと笛が吹かれる
音駒14:18梟谷
リードを保った状態でタイムアウトに入る
孤爪がネット越しにボソッと話しかけてくる
「いつも木兎サンはクロスが大好きだけど、今日の木兎サンはストレートが調子いいね」
「どうかな、調子にムラのある人だから」
どこまで冷静に分析してんだよ
孤爪…わかんないやつ
歩ちゃんは、今日の試合も初め、孤爪に誘われたって言ってた気がする
黒尾さんや木兎さんならともかく、どうして孤爪がわざわざ彼女を?
本当飄々として、食えない奴だ
タイムアウト明け、絶対何か仕掛けてくると思ったら孤爪と黒尾さんがポジションスイッチしてやがった
木兎さんのスパイクが黒尾さんにドシャットされる
普通ならサービスエースの手応えのサーブもバケネコたちにはレシーブされる
合宿で高めあった仲間だけど、敵に回ると厄介この上ない