第6章 日常
グループ通話を終えて机に向かう
とりあえず期末
ほんで東京行って試合見てディズニー
それから春高
モヤモヤしてる時間なんかない
一旦今日のことは丸ごと忘れよう
テスト勉強に集中して、雑念を振り払う
次の日からも部室で勉強会したけど、ツッキーとはほぼ話さず、その分翔陽と影山くんへのスパルタが倍増した
その賜物か、影山くんはすごく勉強に前向きになり、昼休みも毎日2人で勉強するようになった
昼休みだけならと、やっちゃんが翔陽を受け持って英語を教えてくれてる
「歩、今日のお昼は?」
クラスの女の子が訊ねる
「あー、試験終わるまで影山くんと食べながら勉強するわ」
「歩まじ熱心だよね、ビリギャルみたい」
「あんなもんが慶応受かってたまるか」
「あ、噂をすればだよ!この前の試合見に行って思ったけど、影山くんって結構イケメンだよね〜これは三角関係に発展の予感?」
友達に耳打ちされる
「何言うてんねん」
私は筆記用具とお弁当を持って、廊下にいる影山くんの元に向かう
「おう、毎日悪いな」
「ええで、部室行く?」
「おお、ちょっと購買寄っていいか?」
「時間の無駄やし、私の一緒に食べよう」
部室に着くと、弁当箱を広げる
「勉強しながら効率よく食べられるもんって考えたらサンドイッチやってん。明日も同じでよかったら作ってくるで」
「え、これ橘さんが作ったのか?さすがに毎日はワリぃよ」
「うち、両親共働きやから、妹らの分も含めて、私が全員分お弁当作ってるし、気にしんといて」
「悪いな」
影山くんは学力はヤバいけど素直
教えたことは全部メモとる
そのメモ後から見て読めるんか分からんぐらい汚い字やけど
本人は読めるらしい
「勉強なんか結局効率やから。バレーする時無駄な動き多いやつ見たらどう思う?」
「あとからバテんぞボゲェ」
「そーそ、勉強も一緒。あれもこれも無駄なことやってたら、結局最後テスト範囲終わらんくなる。目の前の必要な情報だけ掴み取って、最善の答えを導き出す…それ、影山くん得意やろ?」
「…しっくりきた」
「やし、最初にやっちゃんがくれたスケジュール、あれ範囲も全部書いてくれてたから、あれさえきっちりこなしたら大丈夫やから」
「ぜってー今回は赤点取らないから」