第6章 日常
ー月島side
何でこのタイミングで…原田先輩
中学の先輩で彼女が3年生の時に生徒会長だった
2年だった僕は壇上で凛として話す彼女に恋をした
そんなに積極的なタイプでもなかった僕は1年間何の行動も起こさなかったけど、卒業式の日に意を決して、彼女を体育館裏に呼び出した
そして
「原田先輩、あの…良かったら名札貰えませんか?」
「いいけど…名札だけでいいの?」
そう言われて付き合うってどういうことなのかよく分からないまま、僕たちは付き合うことになった
でも彼女はすぐに高校生になったし、いつの間にか会う回数も減って、僕が高校に入る前には自然消滅していた
「蛍、この前の試合私も観に行ったんだよ」
「…ありがとう」
「すごくカッコ良くて、びっくりしちゃった。また背、伸びたんじゃない」
彼女が近づいてきて背伸びし、僕の頭に触れる
「蛍、私たちヨリ戻さない?今ならうまくいくと思うんだよね、同じ高校だし」
「…ごめん」
「…もしかしてさっきの子?」
「うん」
「そっかぁ…でもいいの?春高で今から全国って時に選手とマネージャーが恋愛にうつつ抜かしてるなんて」
「だからまだ付き合ってないって」
「噂なんて本当でもウソでも、すぐに広まるものよ」
「何が目的なわけ?」
「やだなぁ〜何もないわよ、ただゆっくり蛍と話がしたいだけ。2人のことは黙っててあげる、そのかわり期末終わったらデートして」
「…それで、僕らのことはそっとしといてくれるんですよね」
背に腹は変えられない
今、変な噂を流されて春高に向かって団結しているこの空気に水を差すわけにはいかない
てか、歩はさっき何か誤解しなかったかな
早く戻って伝えないと…
生徒会の資料作りを終えて部室に戻ると、2年の先輩たちだけがいて、歩と日向、影山は帰った後だった
「おう、月島!遅かったじゃねぇか!原田さんとナニしてたんだよ」
西谷さんがニヤニヤしながら訊く
「別に、生徒会の資料作ってただけです」
「そいや、お前ら同中か!」
「そうです、1年のみんなは?」
「さっき帰ったぞ。歩の圧が5割り増しで明治維新に出てくる志士の名前交互に言わされながら帰ってったな」
「そーそー、先に出なくなった方、英単語書き取り100個つってな」