第6章 日常
歩side
コピー機との間に挟まれ、背中にツッキーの体温を感じる
心臓が速くなる
私の気持ち、今伝える
「わ、私の…」
振り返ると思ったより近くにツッキーの顔があってドキドキする…
ガラッ
「お取り込み中だったかしら?」
ツッキー越しにドアの方に目をやると
ロングヘアーの小柄な美人
上級生?
「…は…原田先輩」
原田先輩?
知り合い?
「やだな〜原田先輩なんてヨソヨソしい、元カノなんだから遠慮せずに名前で呼んでよ…久しぶり、蛍」
ヨソヨソしい
元カノ
蛍
頭がこんがらがる
「お邪魔しちゃった?…えっと彼女さん?」
「いや…
「彼女ではないです」
何故か被せ気味に否定される
何なん
いや彼女ちゃうけど
そんな電光石火で否定せんでもええやん
「そうなんだ、じゃあ蛍のこと少し借りちゃおうかな?私生徒会の仕事で今からこれ、全校生徒分コピーしなきゃいけなくって、1人で大変だなって思ってたの。別に付き合ってないならいいよね、蛍のこと借りても」
「…どうぞ」
私はコピーし終えた資料をコピー機から取り出す
「ちょ、歩」
「みんなには言っとくから」
顔も見ずに資料室から飛び出す
何やねん
やっぱ私が自意識過剰やっただけやん
ツッキーは私がおらなあかんなんて思い上がって
さっさと気持ち伝えへんかった自分が悪いんやけど
元カノかぁ…
生徒会言うてたな
小柄で美人で頭も賢くて、何か品ある感じやったな
下駄箱で下靴に履き替える
「追いかけてこーへんのかい」
トボトボと階段を上がり、部室のドアを開ける
「おー、おかえり…あれ月島は?」
縁下さんが訊く
「生徒会の仕事手伝ってます、原田先輩とかゆー」
「おお!原田さん!」
田中さんが反応する
「2年なんですか?」
「おう!進学クラスだけどな、才色兼備の高嶺の花よ!いやまぁ潔子さんほどでは…」
「へー」
原田さん、2年生で進学クラスで生徒会で才色兼備
そこまで分かった
ほんでツッキーの元カノ
「ちょ、翔陽全然進んでへんやん!私がおらんと思ってサボってたやろ?帰り道ずっと英単語言わし続けたろか」
「歩の圧が5割増しなんだけど」