第6章 日常
そもそも返事まだせんといてって言われてるけど、いつしたらいいん?
急に私も好きかもしれん!とか言うて変な感じになったら困るし…
せっかく全国行きが決まって、いい感じの雰囲気に惚れた腫れたの話を、部内に持ち込むのも…
とかグルグル考えて結局何も言わんまま日々が過ぎた
今日は潔子さんとやっちゃん2人にマネージャーの仕事を任せて、商店街と、市内のスポーツ用品店にやっちゃんが作ったポスターを貼りに行く
一刻も早い方がいいと言う武田先生の指示で、数十枚の丸めたポスターを抱えて体育館の横を通り、自転車置き場に向かう
その途中
自転車置き場と校舎の間に誰かの気配
あっ…
そこにいたのはこの前私に話しかけてきた赤井さんと西川さん
それとツッキー
反射的に自転車置き場の影に隠れた
腕に抱えるポスターがグシャグシャになってないか確認する
近寄るのも不自然やし、話してる内容はよく分からんけど
…赤井さんの声だけはよく通る
橘さんなんて、ガサツで女の子らしくない
むしろサバサバしてるのを演じてる性悪女
男好きで他校の男に迎えに来て貰ってたじゃん
月島くん弄ばれてるんだよ
聞こえてきた内容的にはそんな感じやった
あーまたか…
これ知ってる
思考が中学時代に戻る
歩ちゃんって男の子とばっかり遊んでるよな
色目使って宮先輩達に取り入っとる尻軽女
宮先輩達もあんな女に弄ばれてアホやん
ハッと我にかえる
とりあえずポスター配りにいかんと…
立ち上がって逆側から自転車を取りに行く
カゴにポスターを入れ、見つからないようにコッソリ自転車を漕ぎ出す
私は子供ん時から宮ツインズとずっと一緒やった
夏になったら一緒に海に行って花火して、ロケット花火家にぶち込んで母ちゃんに死ぬほど怒られて
冬になったら雪だるま作って雪合戦して、氷が張った池に入ってハマった侑を治と一緒に救出して、母ちゃんに死ぬほど怒られて
裸足で山入ったり川入ったりして過ごした
小学校の途中であの2人がバレーボールにハマって、宮ツインズの母ちゃんと一緒に練習見に行ってるうちに、生活にバレーボールがあるのが当たり前になった