水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第14章 ※郎月
天元がそぉっと身体を離して恐る恐るあやの顔を覗き込む。そして笑いながらわざと尋ねる。
「あや・・・心の準備はもうできたか?」
あやは、手で口元を隠し、頬を上気させると「・・・はい。」と小さく答えた。天元は大きな掌であやの後ろ頭をそっと支え、もう一方の手は口元を隠した手を取ると膝に下ろす。そして頬を一度すりと撫でてからあやの顎に添える。
ゆっくりと目を閉じながら顔を寄せるとあやもゆっくり目を閉じる。あやの柔らかい唇に天元の唇が触れる。微かに天元の肌の香りがする。ちゅっ、ちゅっと角度を変えて数回触れ合う。
天元は顔を少し離し、「今度は遮られなくてよかった。」と言うと、揶揄うように二ッと笑って見せた。
あやは恥ずかしそうに俯くと「すみませんでした。」と言う。それを見てまた天元は「ごめん、ごめん。」と微笑み、顎を掬ってまた数回口づけをする。
「空の所から離れるまではと思ってくれたんだろう?」
「・・・はい。」
「ありがとな。」
天元は嬉しそうに微笑んで、あやの頭を撫でると、あやの顔を覗き込む。
「あや、お前は自分の力であの里を出た。大したもんだ。」
「・・・ありがとうございます。」
「死のうとしたことは・・・褒められたもんじゃねぇが、よく俺の所に戻って来た。」
「はい。」
あやの目からはまた涙が零れた。天元は少し申し訳なさそうな顔になる。