水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第13章 名残の月
天空の問いに応えながら、天元はふと思い立つ。
「・・なぁ、空。やっぱり俺、鬼退治に片が付いたら、里にお前を殺しに行く。それまで死なずに待ってろよ。」
天元が天空を見てにやりと笑う。天空は涼しい顔で天元を一瞥した。
「ふん。では、それまであやを預けておく。俺の優秀な駒になる様に鍛えておいてくれ。・・・あんまりお前みたいに変に筋肉を付けさせるなよ。」
「お前の寝首が掻ける様に育てておくぜ。」
「・・・・まぁ。俺の気が変わったらまた殺しに来るがな。」
「もう来なくていい。」
「・・・・俺はお前のせいでこれから親父の説教だ。」
「・・・空。お前も鬼殺隊になるか?」
「はぁ?ならん。お前が捨てた宇髄と里を守っていかねばならんからな。元兄、・・・貸しだぞ。」
「嫌ならお前も捨てちまえばいい。」
「ふん。お前とはもう話にならん。」
天空はあやを見ると近づく。あやは正座をして話を聞いていた。天空は近くまで行くと、あやの顔を覗き込む。
「聞いた通りだ。お前は任務中に命を落とした。天元の火薬玉で爆破されてしまった。・・・可哀そうな事だ。」
そう言うとあやの髪を一房切り取って紙に包む。
「・・・天空様。」
あやの目からはぽろりぽろりと涙が零れた。
「・・・あや。泣き虫は嫌いだと言っただろう。お前は我儘で泣き虫で俺の嫁には相応しくなかった。煩い天元の所へ行け。」
あやの頭をポンと叩くとくるりと踵を返す。
数歩進むとふっと消えた。