水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第13章 名残の月
天元が急いであやの所へ駆け寄り、脈や瞳孔を確認する。悪かった顔色は少し元に戻っており、あやの呼吸も少しずつ整ってきていた。あやは小さな声で「大丈夫です。」と言い、何度もゆっくり深呼吸をしながら話を聞いている。
天空は天元に向かって尋ねる。
「天元。お前、親父や俺を殺しに来る気はあるのか?」
「無ぇよ。もう殺しはやんねぇって言っただろ?」
「・・・天元。親父は病気だ。もう1年は持たんぞ。」
「ざまぁみろだな。・・・で?」
「親父が死んだら、里へ戻って来い。殺しが嫌ならそれは俺がやる。お前は優秀な忍びを育てろ。」
「・・・育てた忍びが殺しをやるだろ?」
「・・・まぁ。そうだな。」
「交渉決裂だ。」
「・・・・。」
少しの沈黙の後、今度は天元が天空に尋ねる。
「空、お前、優秀な忍びって言ってるが、もう時代は忍びを必要とはしてねぇぞ。」
「そんなことはないぞ。任務の依頼はいくらでもある。中国やロシア帝国、・・・企業秘密だが、日本政府からもな。世の中、暗殺して欲しい奴はいっぱいいるんだ。報酬もいい。・・・が、その分難しい。」
「何だか危ねぇ話だなぁ。・・・で、依頼があったら罪も無いような人間も殺すんだろ?」
「天元、罪のない人間が依頼されることは無い。殺されるような理由がある奴が依頼される。」
「空・・・。死んでいい人間かどうかなんてお前が決める事じゃねぇよ。」
「・・・天元。どうしてもか?」
「くどい。」
「天元・・お前はその罪のない人間とやらを守るために鬼退治か。」
「あぁ、そうだ。」