水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第13章 名残の月
「・・・・空。覚悟しろ。」
天元は背中の刀を抜いた。爆薬を使うと解毒剤が割れてしまうと思い、剣技で戦う。
天空もそれを自分の忍刀で応戦する。その剣の攻防の合間に爆薬や手裏剣などを使って様々な攻撃を出す。
同じような体格で、基本の戦い方は同じ師から教わっているので戦いの考え方はほぼ同じ。力は均衡していた。
飛び道具で距離を取ることができる分、少しづつ天空が押している。
天元も天空も少しずつ顔や手、足などに怪我を負う。
天空が切りかかり、それを天元が受けて流す。天元が受けた瞬間、天元の懐に向かって火薬玉を投げ、すぐに後ろに下がる。天元も体勢を変えて火薬玉の直撃を避けて逃げるが、火薬玉の爆発が体に当たる。
その繰り返し。
天元の刀は二本あるとはいえ、刀のみだと決定打が出せない。かといって、天空に決定打を打たせるわけでもない。お互いの体力がじわじわ減る。
天空としては天元の本当の力が知りたいのに大技を出してこないので痺れを切らして言う。
「天元、お前、もっと鬼を倒すときの技は出さないのか?」
「・・あれは・・・人間用じゃねぇからあんまり使いたくなかったが、時間も無ぇ。・・空、後悔すんなよ。」
天元はスウっと息を吸うと飛び上がる。
音の呼吸 壱ノ型 轟―――――――!
天空を直撃しない様に近くに技を出す。大きな爆発が起こり、天空は咄嗟に腕を交差させてそれを受ける体勢になったが、威力で身体が吹き飛ぶ。
天空はくるりと回って着地をしたが、爆発を受けた腕や体から血が滴り落ちた。爆風で喉を焼いたのかゼェゼェと苦しそうに息をしている。
「げほっ・・・大したもんだ。直撃でなくてこれか。・・・にしても元兄は相変わらず甘いな。俺目がけて撃っていれば仕留められたのに。」
「俺は、人殺しはもうやらねぇ。本当は人に対してやるつもりは無かった技だが、・・・お前俺の技を見に来たんだろ?」
「でも・・まぁ・・・空。・・・目当てのもんは貰ったぜ。」
天元の手には透明の瓶。
天元は急いであやの所へ行く。縁側で横になっているあやの口を少し開かせると、天元は自分の口に瓶を傾ける。
次の瞬間・・・・
「ぐっ・・・・」
天元の手から瓶が落ちて地面を転がる。
天空がゆっくり傍へやってくる。
「天元・・・お前、人を信用しないのは忍びの基本だろう?それも毒だ。」