水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第11章 ※天元か天空か
天空は優しい声でそう言うと、あやの唇に自分の唇を重ねる。
「少し考える時間をやる。そんな顔をするな。・・・もう、泣くな。」
あやすようにちゅっちゅっと何度も口づけを落とした後、顔を離してあやを抱きしめた。
「あや、ほら機嫌を直してくれ。」
天空はあやの背中に回した腕にもう一度力を込めた。
自分で死ぬこともできないという事に暫し呆然としていたあやだったが、ふと天空に訊ねてみた。
「天空様、もしかして今、本気で私に殺されるおつもりでしたか?」
「・・・当たり前だ。お前、何かしらのけじめを付けんと里は抜けられんぞ。」
あやは、驚いて体を離し天空を見る。天空は不思議そうな顔であやを見る。
「あや、お前は何の覚悟も無く里を抜けたいと言っていたのか?」
「・・・天空様は私に殺されてもよろしいのですか?」
天空はふんと鼻で笑う。片方の手であやの頬を掌で包み、親指で鼻先や唇を触りながらあやの顔を覗き込む。
「俺はお前を殺せないんだから、お前がその気になったら死んでやるしかないだろう?いいぞ、お前にだったら殺されてもいい。」
天空のもう片方の手はあやの前髪を後ろになでつけたり、毛束を掬ってさらさらと落としたりしている。目を細めて微笑むとちゅと唇を重ねる。
「・・・まぁできれば俺でなく、天元を殺してほしいが。」