水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第11章 ※天元か天空か
あやが目を伏せて舌を絡める様子を天空は満足そうに見つめながら、あやの服を脱がし始めた。隊服とシャツ、その下に着込んでいた鎖帷子を脱がされたところで、とんと少し肩を押され、唇が離れる。
「ほら、どこに武器を隠しているんだ?下も脱がせるぞ。」
と言うと、ベルトを抜かれ、脚絆を外され、隊服のズボンが剥ぎ取られる。そして、隊服の縫い目の中や体に付けていた隠し武器を一つ一つあやの目の前に出しながら取り上げていく。
「あや、お前はもうずっと俺の特別だ。死んでもらっては困る。可愛くて仕方がない。」
あやの頭に一瞬浮かんだのは『絶望』。
随分と余裕のない顔になってしまったのだろう。「どうした?」と呟くと天空は指の背で頬を優しく撫でた。そして、ふと思いついたように手を離す。
「・・・俺を殺すか?自由になれるぞ。」
天空は微笑んで、ほら、とあやから取り上げたクナイをあやの手に握らせる。そして天空がその手を取って、天空の頸動脈に当てる。つぅと首に赤い線が入り、血が滲んだ。
「少し力を入れて引けば俺は死ぬぞ。一緒にやってやろうか?」
あやはもう天空が何を考えているのか分からず、怖くて怯えるように小さく首を振り、クナイをそっと下ろして手から離す。
天空は困ったように眉を寄せ、もう一度あやの瞳を見つめながら優しく問う。
「あや、里を出たいんだろう?だから自由にしてやろうとしても俺を殺すのも嫌・・・どうしたいんだ?」
あやは絞り出すような声で言う。
「もう・・・私を死なせてください。どれも選べません。」
あやの目からは涙が一粒落ちた。天空は大きく溜息をついて、あやに顔を寄せ、まだ目に溜まっている涙をちゅっと吸う。そして頬や唇に唇を数回落とすと、またあやの瞳を見つめて言う。
「さっきも言っただろ?お前が死ぬのは俺が嫌だ。」