水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第11章 ※天元か天空か
何をされるんだろうと思いながら傍へ行く。
傍へ座ると、もっと来いという。肩が触れる位近くまで行くと、天空はあやの頭をぐっと引き寄せ、自分の肩に付けた。そしてあやの頭の上に顎を乗せ、腕を回して優しく体も抱き寄せる。
「あや、どうした?言ってみろ。何が嫌なんだ?」
少し穏やかで優しい口調で問う。
「人を殺すことが怖くなりました。」
「どういうことだ?」
「自分の手で誰かの人生を終わらせるのが怖いんです。命が無くなる瞬間の顔や声がずっと心に残ります。」
「分からんでもないが、それが俺たちの仕事だろう?」
天空の大きな手はあやの頭を撫ではじめた。髪の毛の感触を楽しむようにそっと優しく。さっき首を絞めた手と同じ手には思えない。これも忍びの手管なのだろうか。天元も女の扱いが上手だった。天空も女の扱いが得意でもおかしくない。
天空にも嘘は通用しないので、なるべく正直に答える。
「もうその忍びの仕事をしたくないのです。」
「では、俺の子をたくさん産むか?」
「産んだ子を・・・また人殺しにしたくありません。」
「里で生きていくにはそのどちらかしかないだろう?」
少し天空は体を離し、あやの顔を覗き込む。あやも覗き込まれた瞳を見つめて言う。
「できるなら里を出ていきたいと思っています。」
「出て行ってどうするんだ?」
「鬼殺隊の仕事を続けます。」
「どこで?天元の所か?」
「いえ、どこでも良いのです。」
あやの話を聞いて、天空は眉間にしわを寄せて首を傾げた。理解できないという顔で。
「・・天元が好きか?」
「はい。」
「俺のことは嫌いか?」
「いいえ。」
「では、俺の事は好きか?」
「今の様に優しい天空様は好きです。でも・・・時折、怖いと感じることがあります。」
あやはもう、正直に答えた。
天空の瞳はいつもの無表情と少し違い、微かに優しさを感じる光があった。どう思いながら聞いているんだろうか・・?でも何故か目は逸らすのは怖く感じ、逸らせなかった。
「全く・・暗殺に失敗したというから怪我でもしたかと思って見に行ったのに・・・。」
「・・・お前ときたら、あれも嫌だこれも嫌だと言って・・我儘な女だ。」