水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第1章 ※忍びの里
父が動かなくなってしまったので、私の番になった。
くノ一なので、顔は残して、跡が残らない様に服の上から鞭で叩かれる。
ふと、そういえば、冷酷な天空にも一度だけ、罠をよけながらの山駆けの時に、罠を踏んだ私の腕を掴んで助け上げてもらったことがあるなと思い出した。「もっと周りを見ろ」と言った顔は今よりも柔らかかった気がする。
天空は表情も変えずにじっとあやの様子を見ていた。数回叩かれた後、「もういい」と解放された。
服で隠されていなかった首と肩に少しだけ鞭が当たり、肉が捲れてしまった。跡がつかなければ良いなと思った。
須磨が里を抜けてから2年が経ち、あやは13歳になった。
須磨が見つかった知らせは無かったため、何とか逃げきれたのだろう。もう会うことは無いだろうが良かった。
あやの父はあの拷問で辛うじて生きていたが、後遺症が出る程の大けがを負ってしまったため、次に行った任務であっさり命を落としてしまった。怪我で痛々しかった父が痛みや不自由さから解放された安堵感の方が父を失う悲しみよりも大きかった。