水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第1章 ※忍びの里
そして、昨夜、宇髄家の子供たちが6人集められて人殺しの訓練を受けている時に、天元は奥方3人を連れて急に足抜けをした。
天元の他の兄弟は訓練中に4人も亡くなっていた。
里の大人たちが血眼で天元を探しているが、何の情報も無く当主が痺れを切らしているらしく、一番家の格が低いあやと父が見せしめに殴られていた。
須磨は泣き虫で、くノ一としては優しすぎるが、表情が豊かで可愛らしいので、あやは大好きだった。そして、このつらい毎日の中であれだけ素直に自分の感情が出せるということに尊敬もしていた。
きっと、優しくて可愛らしい所が妻として天元の相応しいとされたのだろう。あやはほとんど自然に笑うことができなくなっていたので、自分には可愛らしさは無いと自覚があった為、嫁の選考については納得していた。
あやは、抜け忍は例外無く殺されてしまうと知っているので、姉と天元が見つからずに逃げられるように祈った。
あやも父も、須磨は天元の命でついて行ったと分かっていた。
主人の命令を聞くことは妻として当然の事なので、自分達が拷問を受けていても須磨を恨むようなことは無かった。
そもそも宇髄家の駒なので、宇髄のすることに対して文句や不満などを持つこと自体が無かった。
天元も一人で逃げずに、危険を顧みず三人の妻も連れて行ったので、何かの事情があることも察することができたし、里を出ても忍びは全うな生き方はできないと知っていたので、わざわざ苦労をしてまで出ていきたいと思うことがあったのかと思うと、何とか逃げ切って欲しいと思った。
あやは、姉と天元にもう会えないことだけはとにかく悲しかった。
そして、今は、ただひたすら当主達の怒りが静まって拷問が終わって欲しいと願っていた。父の身が心配だった。