水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第10章 天満月
そして考える。
・・・また死にそびれてしまった。と。
天元様の言う程、そんなに簡単に天元様の所へなんか行けない。裏切者は死ぬしかない・・いや、もう簡単には死なせてもくれないかもしれない。
・・・今回の暗殺失敗の報告をしに一旦里へ戻ることになるだろう。
姉たちの住む天元様の屋敷には行かない。天元様に迷惑は掛けられない。さっきの口づけを遮らずに受けて、そのまま抱かれてしまいたかったが、それをすると天元様は私をもっと大切に想ってしまうだろう。天元様を屋敷の近くから動かしてはいけない。
・・・私は天空様の妻だ。まずそこにけじめを付けなければ抱いてもらうわけにはいかない。
様子を見て天空様には正直に話したい。私がもう人殺しをしたくない、里から出たいと言ったらどうするだろう?
殺されるだろうか?
子を産むためだけの道具にされるだろうか?
・・・子を産むためだけの道具にされるなら、毒を飲もう。じわじわと弱っていく毒を。病気だと思われたら捨ててもらえるかもしれない。
なんにせよ暗殺の命令が出て、失敗してしまったのでこのまま鬼殺隊を続けていくことは難しい。
・・・万が一里から逃げられたら・・・そんな幸運があったとしたら、鬼狩りを続けよう。
自分の命の続く限り誰かを救っていく。自分が奪った命の数よりも首を切った鬼の数が超えたら、杏寿郎殿に騙していたことを謝りに行こう。
・・・そして、・・・天元様の奥様三人が許してくれるなら、屋敷で一緒に住ませてもらおう。
あやはやっと生きることに希望が持てた。