水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第10章 天満月
あやは袋をまた大切そうに懐に仕舞う。そして天元の目を見る。天元も「どうした?」とあやの方を見た。
「・・・・天元様、そろそろにされませんと、どんどん決断できなくなってしまいますよ。」
「・・・あや、やっぱり気づいてたか?」
「当たり前です。どうぞ、一思いに首を折ってください。毒よりも確実です。」
「お前は?この前、空に俺を殺せって言われたろ?」
「言われましたが、やりません。私が人を殺したら、杏寿郎殿も生きてはいないでしょう。それに私はもう天元様の様に守るものが無いので、いいんです。里に戻る気もありませんし、屋敷に戻ると天空様もまた来てしまいます。もう疲れました。」
あやはうなじにかかる髪を少しずらして天元から首がよく見えるようにする。
天元はもう何度目か分からない大きな溜息をついた。最初からあやの命を奪うことには乗り気では無かった。でも今日を逃すと妻たちの身の危険が増すのは明らかで、天空もまた近いうちに来る。あやから自分たちの情報が漏れてしまうのは命取りになる。
何か他の方法は無いかと考えながら、軽くあやの首筋にちゅちゅと口づけを落とす。そしてまた大きなため息をつく。
ふと、あやの首筋に傷跡を見付けた。
はっとした。
ぐいっと寝間着の襟を下げてその傷をよく見る。
「天元様?」
「・・・・あや、お前、この首どうした?」
「・・・・。」