水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第9章 2人の来訪者
次の瞬間、2人の体がふっと消えた。
ガキンッ!!
金属音とあやだけが部屋に残り、2人は庭に出ていた。天元も天空も手にはクナイを持って睨み合っている。
「空。俺を殺しに来たか?」
「さぁ。忍びは任務の内容は明かさない。もう忘れたか?・・・天元、お前は何でここにいた?」
「可愛い弟がそろそろ来ると思って張っていた。大正解だ。」
喋りながら斬り合っていたが、庭では狭い様で、近くの林の方へ向かって移動し始めた。早すぎて目で追えないが、あやも必死について行く。
林の中では、黒い服の2人の姿は見えず、金属がぶつかる衝撃音と飛び散る火花とでどの辺りにいるか大体知ることができた。時々残像だけが見える。
どのくらいたっただろうか。かなり長い時間斬り合っている。どちらか・・・あるいはどちらも怪我をしたのか、少し血の匂いがする。
ふっと細く炎が流れるのが見えた。次の瞬間・・・ボンッと炎がはじける。げほっと咳き込む声・・・天元だ。今度は反対に細く炎がいくつか流れていく、一つ二つ・・・五つ。そして流れた炎の数だけ爆発音。
2人の音が止む。あやが近くまで行くと、
次は武器を捨てて、素手で殴り合いを始めていた。2人とも爆発とその前の斬り合いで体中に傷を負っている。あれだけ移動したにも関わらず、ほとんど呼吸も乱れていない。攻撃が相手の体に当たった時だけ微かに音がする。
一度あやの近くに天空が飛ばされてきた。
あやが傍によるとぐいっと肩を押され、「いいから下がってろ。」とまた天元の方へ殴りかかりに行く。
天元も何発か殴られ、蹴られているので顔のあちこちが腫れて血が滲む。
「空。お前強くなったな。俺はあれから死ぬほど鍛えたんだぜ。」
瞼が切れ、流れた血が目に入ったらしく、目のあたりの血を拭いながら天元が言う。
「天元。お前ごときを殺せない俺への嫌味か?」
口の中を切ったのか、ぺっと横に血を吐きながら返す。
天元が「嫌味に気付いた?」とにやりと笑い、また攻撃に移ろうとした時・・・
バサッバサッと天元の鴉とあやの鴉が至急の任務を告げに来た。すぐに応援に向かえという。