水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第7章 初任務
隊士が怪我などで少しずつ戦線離脱していき、あやに対しての鬼の攻撃が増える。
せめてどちらか一体に集中したいと思っていると、目の前の木の枝に音も無く天元が現れた。
あやに指で「上の敵だけ見ろ」と合図してきたので、こくりと頷き、敵が天元に攻撃を仕掛けた瞬間を狙う。
跳ねる動きが単調なので、それだけに集中するならできそうだった。
天元は罠を踏んでも、飛んでくる斬撃を天元自身の力強い攻撃で受け流すか、威力を相殺させることができるようだった。
これまで他の隊士がさんざん苦しめられた罠の斬撃を、いとも簡単に攻略していく。
すると、鬼の方も間合いに入らせないように、大きな斬撃が出る罠ばかりを仕掛け始めた。
天元は罠の鬼と戦いながら、あやが攻撃しやすい様に囮になってくれていた。
跳ねる方の鬼が上に飛び跳ねた瞬間、あやは勢いよく枝から枝に飛び移って助走を付け、最後に地面に倒した幹を踏んで飛び上がりながら、
炎の呼吸 壱の型 不知火―――
鬼が下りてくる瞬間をうまく捉えることができた。
鬼の首がゴロゴロと転がって崩れていく。
「やるじゃねぇか!」
とあやに声を掛けると、天元は地面にいる鬼を追い詰めていく。
それを見て状況が悪いと判断した鬼が子供を先に喰いに行く。何人かの隊士が子供を守ろうと駆け寄り、罠を踏んでしまう。
大きな罠を踏んだ隊士に斬撃が飛ぶ。
天元はその隊士に斬撃が当たらない様に隊服を掴んで遠くに飛ばす。代わりに天元の背中に斬撃が向かう。
あやは頭では大丈夫だと分かっていたが、
「危ない!」
と、咄嗟に体が出てしまった。斬撃と天元の間に自分の体を入れてしまう。
「余計な事すんな!」
とあやも隊服を掴んで飛ばされたが、腕に少し斬撃が掠ってしまう。
天元は自身の大きな日輪刀で斬撃の衝撃を攻撃で打ち消す。すぐに、子どもの方へ向かった鬼を木の枝を飛び移りながら追い詰め、一旦飛び上がる。そして落ちる威力も合わせながらーーーーー
音の呼吸 壱ノ型 轟―――
爆音と斬撃で、鬼は跡形もなく消し飛んでいく。
天元は子どもたちの所へ行き、
「もう大丈夫だぜ。」と声を掛けて血気術で出られなくなっていたお堂の中から出してやった。