水光接天 【鬼滅の刃/宇髄天元・弟】【中編】【R18】
第7章 初任務
日輪刀が届いて数日後、あやは初任務の指令を受けた。
杏寿郎に「行って参ります」と挨拶をすると、
「あぁ、頑張れ!」
といつもの笑顔で見送ってくれた。
あやは杏寿郎の笑顔を見るたびに千寿郎が教えてくれた「北風と太陽」の話を思い出す。忍びの里での怖い怒鳴り声より、あの笑顔の前では頑張らずにはいられない。と。
任務の地に着くと、小さなお堂があった。中には子供が5~6人ほど鬼に捕らえられており、身を寄せ合って泣いている。
先に来た隊士はすでに鬼と戦っている。鬼はあやの見える限りでは2体。
地面に罠を仕掛け、罠に気を取られている所を攻撃してくる鬼と、ぴょんぴょんと高く跳ね、上から隙を見て攻撃を仕掛けてくる鬼。
鬼同士の息が合っていて、隊士たちが罠に手間取っている間に横から攻撃を仕掛けたり、空からの攻撃を仕掛けたりしてくる。
隊士たちはあちこちからくる敵の攻撃によって、首を狙う攻撃ができず、徒に怪我人や死人だけが増えていっている様だった。
地面に罠を仕掛けている鬼の目には下陸の文字。
さらに罠を踏むと中から斬撃が出てくる。そして何かに当たるまで付いて来る。
大きな罠には大きな斬撃、小さな罠には小さな斬撃。
踏んでみないとその大きさは分からない。
斬撃自体に毒はなさそうだが、大きな斬撃は胴を二つにできる位の威力がありそうで厄介だった。
あやは木から木への移動ができるので、木に登り、上からの敵を警戒しながら地面の鬼に攻撃する。
が、炎の呼吸は下半身の安定が重要なので、木の幹を足場にして技を出すのでは体勢が崩れている状態なのでやりにくい。
ならばと木を倒して足場を作る。そうすると比較的安定した攻撃ができるが、一つ一つに手間がかかる。
次の攻撃を出す間に鬼の身体は再生してしまう。