第92章 緋色の帰還1
沖矢side
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《では、まず助演男優賞から。プレゼンターは雑念の受賞者・ジョニー・ビップさんです!》
テレビを見ていたら…
ピンポーン
チャイムが鳴り、ソファからのっそり立ち上がり、対応に出る
沖矢「はい」
?『宅配便です』
それだけ聞き玄関に向かい、ドアを開ける。
するとそこにいたのは宅配業者の服装の者ではなく、安室透が立っていた
安室「どうも。初めまして…安室透です」
沖矢「はぁ…」
安室「…でも、初めましてじゃ…ありませんよね。
少し話がしたいので…中に入っても構いませんか?」
沖矢「ええ。大丈夫ですよ…」
工藤邸
安室「ミステリーはお好きですか?」
沖矢「ええ…まぁ…」
安室「では、まずその話から…。ま、単純な死体すり替えトリックですけどね…」
沖矢「ホォー。ミステリーの定番ですね…」
紅茶を机に並べると、自分も安室の向かいのソファに座った。そして、彼は話を始める
安室「ある男が来葉峠で頭を拳銃で撃たれ、その男の車ごと焼かれたんですが…辛うじて残った焼け残ったその男の右手から採取された指紋が…生前、その男が手に取ったと言うある少年の携帯に付着していた指紋と一致し、死んだ男の身元が証明されました」
背後にあるテレビをつけた状態で、ミステリーを披露する安室の声を聞き取る
安室「でも、妙なんです…」
沖矢「妙とは?」
安室「その携帯に残っていた指紋ですよ…その男はレフティ…左利きなのに、なぜか携帯に付着していたのは右手の指紋だった。変だと思いませんか?」
沖矢「携帯を取った時、偶然聞き手が何かで塞がっていたからなんじゃ…」
安室「…もしくは右手で取らざるを得なかったか…」
沖矢「ほう…なぜ?」
安室「その携帯はね、その男が取る前に別の男が拾っていて、その拾った男が右利きだったからですよ」
沖矢「別の男?」
安室「ええ…実際には3人の男に携帯を拾わせようとしてたみたいですけどね。さて、ここでクエスチョン。最初に拾わせようとしたのは脂性の太った男…次に首にギブスをつけた痩せた男…。そして、最後にペースメーカーを埋め込まれた老人…。この3人のなかで指紋が残っていたのは1人だけ。だと思います?」