第33章 甘く冷たい宅急便1
貴方side
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ベルツリー急行列車事件から、数週間が過ぎようとしていた
学校がない休日、私はポアロに歩いていた
貴「…あれ?大尉?」
大尉「にゃあ…」
広場近くでポアロにいつも遊びに来る野良猫を見つけしゃがみ込む
梓さんや私に懐いており、餌をねだりにくる。名前は梓さんが考えた"大尉"
歩美「あ、怜花お姉さんだ!」
貴「ん?あれ、皆こんにちは!どうしたの?」
元太「この広場で、皆でサッカーしてたんだぜ!」
貴「なるほどね」
歩美「あれ?猫ちゃん居るー!」
光彦「人懐っこいですね〜。もしかして、怜花さんの猫ですか?」
貴「え?…あ、いやこの猫はね…」
コナン「ねぇ、その猫大尉じゃねぇか?」
全「え?」
サッカーボールを持ちながら近付いてくるコナンが、私に被せるように言う
元太「大尉?お前、その猫知ってんのか?」
コナン「ああ。探偵事務所のある5丁目あたりを根城にしてる野良猫だよ。
喫茶ポアロの梓さんや怜花お姉さんに懐いてて、夕方になるといつも餌をねだりにくるから、ポアロのところによく来るやつってことで、名探偵ポアロの友人のヘースティング大尉から名付けたってわけさ。ね?」
貴「うん、よく来るからつい声掛けちゃった」
歩美「じゃあ"大ちゃん"だね」
哀「怜花さん、本当に野良猫なの?首輪つけてるけど…」
貴「うーん…そこまで詳しくは…」
コナン「…元は誰かの飼い猫だったみてぇだな…」
すると、腕の中に居た大尉がどこかに走っていく
哀「っ!」
近くに居た哀の手編みセーターに、足の爪を引っかけながら
哀「あの子、どこに行く気かしら…」
光彦「!下手に道路に出て車に轢かれたら大変ですよ!」
貴「!大尉!」
コナン「怜花お姉さん!?」
元太「追っかけようぜ!」
轢かれると言われ私も、子供達と追いかけていく
1人置いてきぼりのコナンも、溜息をつきながら追いかけてくる
★★
歩道に出て歩美ちゃんが見つけた時、大尉は反対側の歩道に寄せて駐車してある"チーター宅配クール便"の中を確認する仕草をしてから開いていたトラックのコンテナに入ってしまう