第2章 陰陽(夏油傑)※
『んーんっ…!?』
夢実は我に返ったのか私の胸をトントン叩いた。
無意味だというのに。
苦しくなってきたのだろう、彼女は息をするために口を少し開けた。
そしてそれを待っていた私はすかさず彼女の口内に自分の舌を入れた。
彼女は目を見開いて驚いていたが私は知らぬふり。
そのまま舌を絡ませ彼女の口内を堪能した。
『んんっ、んんんんふ…、んっ…!』
夢実の表情が見たくなった私は一旦やめた。
「…あー、いい表情だね…」
夢実は顔を真っ赤にさせ目を潤ませて私を睨んでいる。
私の唾液で濡れた口元が光っていて非常にいやらしかった。
『…っ、なんっで、こんなこと……!』
夢実はやっとのことで私に話しかける。
そんな彼女に私は微笑みかける。
『ふざけないでください…!
初対面なのにっ……
それにこういうことは、好きな人とするものですっ…!』
「ははは、面白いこと言うね。
そういう自分は好きでもない奴としたのに?」
『いや、だから、それはっ…』
「私は今夢実としたい。
そういう気持ちにさせたのは夢実なんだからしっかり責任とってもらわなきゃ。」
『そっ…そんなの自分が悪いじゃないですか!?
私は何もしてませんし、夏油さんが何故そうなったのか分かりません…!!』
「でも、良さそうな顔してたけどな。
キス、よかったでしょう?」
『全然良くないです!!!
…キス、初めてだったのに…』
私はこのとき彼女が何を言ったのか気付くことができなかった。
「まぁ、先のことは私に任せてくれれば大丈夫。
自分で言うのもあれだけど、経験は豊富だから。」
『そういうことじゃなくて…きゃあ!!』
私はいつまでもグダグダ言ってくる夢実に若干苛つき彼女の首を軽く噛んだ。
そしてボタンを1つずつ取り始めた。